研究課題/領域番号 |
26590155
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研究機関 | 湘南医療大学 |
研究代表者 |
小林 和彦 湘南医療大学, 保健医療学部リハビリテーション学科理学療法学専攻, 教授 (60310190)
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研究分担者 |
辻下 守弘 奈良学園大学, 保健医療学部, 教授 (80280197)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 介護業務への意欲 / 介護業務に対する自己効力感 / 介助方法 |
研究実績の概要 |
本年度における実施内容および成果を時系列で示す. (1)某地区における小規模多機能施設連絡協議会の定例会に参加,研究協力依頼を行った.(2)5施設の施設管理者等へ直接出向き,研究概要の説明を行った結果,2施設(対象介護職員;各施設15名)より研究協力の正式承諾を得た.(3)各対象介護職員(被験者)への介入(行動分析学の枠組みによる移乗介助プログラムのネット配信による指導)実施のため,2施設へ出向き,パソコンの貸与・設置および利用方法等の説明を行った.(4)事前調査の実施(各被験者に対する被験者特性調査および精神健康度調査を質問紙法により実施した.その結果,自らの職業や業務に,やりがいや生き甲斐を感じている者は少なく,どちらかというと,業務量の多さにストレスを感じている者の割合が高かった.(5)後日,当方が用意した模擬患者を用いて各被験者に対する移乗介助および脱衣介助評価を実施したが,事前に設定された模擬患者の動作能力に合致した介助は,ほぼ為されていなかった. 以上,本年度における実施内容は,介護職の介護業務(特に日常生活介護)への意欲や自己効力感等の精神面および具体的な介助方法などに対し,本研究独自の介入プログラム(わが国における同様もしくは類似の実践例は,ほぼ皆無)が如何なる影響を及ぼすかを判定するための事前評価として非常に重要な意味があるものと考えられる. 今後(平成29年度)においては,介入プログラムの実施,事後評価,フォローアップ調査を順次行って行く予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究課題の進捗状況が遅れている理由としては,研究代表者,研究協力者,および対象となる介護老人施設介護職員と,彼らが日頃介護している対象入所者における問題があったことが考えられる. 研究代表者に関しては,本研究課題遂行中の平成27年度末に前職場を退職し,28年度より新たな職場に再就職したという経緯がある.前の職場とは,環境や業務内容も大きく変わったことから,しばらくの間,研究活動が行えるような状況が無かったことが遅延してしまった最大の理由である.また,もう一人の研究協力者に関しても研究代表者と同時期に再就職となったが,このことも研究課題の遂行に大きな影響を与えたと考えられる. 一方,被験者として研究協力予定であった多くの介護老人保健施設介護職員が平成27年度末をもって同職場を退職し,また,彼らが日頃介護している対象入所者においても,その数名が予定よりかなり早期に退所および再入院してしまったことがある.そのため,新たな対象施設および被験者を模索せねばならなくなり,多くの時間と労力をそのことに費やす結果となった.その後,何とか他施設にて研究協力は得られたものの,当初の研究計画であった,施設利用者への介助場面のビデオ記録に関しては協力が得られず,データ収集方法において再考が余儀なくされた.その後,実際の利用者では無く,模擬患者によるデータ収集ということで何とか承諾が得られたという状況である. 以上の問題が,平成27年後半から28年度末にかけ連続して起こったことが,本研究計画が大きく遅延してしまった理由であると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策としては,事前評価である移乗介助と脱衣介助場面におけるデータ収集があと数名残っているので,できれば5月中に事前評価をすべて終了させる.その後,約1週後に介入群であるA施設の被験者15名にネット配信による指導プログラムを提供し,全員が視聴した後,約1週後に事後評価を行う.事前評価と同様の評価内容および手続きにてデータ収集を行うが,それらに加え「指導プログラム視聴に関するアンケート調査」を併せて実施する. 一方,コントロール群であるB施設15名の被験者においては介入を一切施行せず,事前評価とまったく同様の評価内容および手続きにて,介入群に対する事後評価施行時期とほぼ同時期にデータ収集を行う.その後,A施設の被験者達と同様,介入群としてネット配信による指導プログラムを提供する.そして,A施設被験者と同様に事後評価を実施する. 以上の手続きを実施することにより,30名の介入データと15名のコントロールデータを約2ヶ月で収集する予定である. また,介入群であるA施設の被験者15名においては,前述した事後評価より約2ヶ月後にフォローアップ調査として,事前評価ととまったく同様の評価内容および手続きにてデータ収集を実施し,研究課題を終了させる予定である. 前述したように,新たに研究協力依頼を行った2施設に関しては,施設利用者の要望によりビデオ記録が不可となったため,当方の用意した模擬患者にて代用することとなった.検討を重ねた結果,本研究課題を継続するためには致し方ない判断であったと考えられる.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画書の28年度支出分において,主に以下に示す項目が未支出であることから,次年度使用額が生じた. (1)被験者30名分への謝金 450,000円(15,000×30),(2)研究協力施設(2施設)への謝金 30,000円(15,000×2),(3)被験者30名に対するデータ収集のための旅費 300,000円(30,000×10),(4)被験者30名分に対するアンケート調査等の文書通信費 32,000円 (8000×4)
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次年度使用額の使用計画 |
上記理由に対応した使用計画について以下に示す. (1)2カ所の施設に所属する被験者30名に対し,直接施設に赴いてデータ収集を行うための旅費として,次年度中に最大10往復程度を想定している 300,000円(30,000×10),(2)上記被験者30名分に対するアンケート調査等の往復文書通信費(切手代等)として 32,000円 (8000×4)を想定している,(3)すべてのデータ収集終了後に,上記被験者30名分への謝金 450,000円(15,000×30)を支出予定,(4)すべてのデータ収集終了後に,上記研究協力施設(2施設)への謝金 30,000円(15,000×2)を支出予定.
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