研究課題/領域番号 |
26590159
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
伊藤 美奈子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (20278310)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | いのちの授業 / 不登校 / 流産体験 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、「いのちの授業」を受けた子どもたち(聴き手)に対する調査を実施した。それに先立ち、死生観を問うような質問項目、ならびに、「生」「死」をイメージでとらえるためのSD尺度を作成し、いのちの授業の前後でそのイメージがどう変わるかについて検討した。また、それらのイメージと自尊感情尺度得点との関連を調べた。その結果、いのちの授業(NPO血液患者コミュニティ「ももの木」による白血病体験報告)の前後で、<死への恐怖>はやや上昇したが、それと同時に<生きることへの意欲>は高くなることが確認された。いのちの授業の実践報告と、調査結果については、日本教育心理学会総会自主シンポにおいて報告した。 また、流産経験を語る「いのちの授業」については、研究協力者(青木由美子中学校校長)の実践についての聞き取りを行った。また、流産による悲嘆の基礎研究として行った調査の結果を「ヒューマンケア心理学会」に投稿し採択、「心理臨床学会」にも調査結果を投稿中である。 「不登校経験の語り」については、研究協力機関であるクラーク記念国際高等学校で行われた体験報告会(学校復帰支援シンポジウム)に参加し、「不登校経験を語ることの意味」について聴き取り調査を行うための半構造化面接項目を抽出した。また、この不登校経験が持つ意味づけについて行った考察は「不登校経験者による不登校の意味づけ-不登校に関する不登校意味づけ尺度項目の収集」(奈良女子大学臨床心理相談センター紀要,2号)にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画は8割程度は実施できた。ただ、調査について多くの配慮が必要であり、学校現場の協力が十分に得られなかったことから、次年度に持ち越した課題もあるため。
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今後の研究の推進方策 |
申請時の計画に基づき、平成26年度に実施が十分でなかった調査研究、および27年度に計画していた3つの調査研究(①~③)を遂行する。①教育における現状把握のための調査: 小・中学校の現場を対象に、いのち・死に関する授業実践が行われている状況について、実態調査を行う。②「語り手」に対する半構造化面接項目作成のための調査:不登校経験者やいのちの授業の話し手を対象に半構造化面接を行うための項目を作成する。③「対話によるいのちと心の授業」の実施とガイドラインの作成:いのちの授業・死の授業を実践している学校と共同で、授業を行うに際しての事前準備と事後のフォローについて実践的な研究を行う。
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