研究課題/領域番号 |
26590163
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研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
松永 しのぶ 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (50300033)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 絵画完成課題 / 埋没図形課題 / 心理アセスメント / 弱い中枢性統合 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、自閉スペクトラム症(Autisim Spectrum Disorder:ASD)の「部分」と「全体」の関係性認知の特異性を解明するために、成人期のASDを対象に「埋没図形課題」(embedded figures test:EFT)、「絵画完成」課題(picture completion test:PCT)遂行中の視線運動パターンを注視点追跡システム(アイトラッカー)により測定し、定型発達者との相違を検討することである。 2014年度には独自に作成した臨床研究用PCTを大学生45名に実施した。各図版の通過率および主成分分析の結果からPCT課題は、3つのサブタイプにグループ化することが示唆された。 2015年度には、大学生20名に臨床研究用PCTとEFTを実施し、課題遂行中の視線計測を行い、各課題の成績とAutisim Spectrum Quotient(AQ)、Adult ADHD self report scale(ASRS)における個人差との関連を検討した。ADHD傾向とASD傾向がPCT成績に及ぼす影響は、PCT課題のサブタイプによって異なっており、PCT遂行は、課題のタイプによって認知処理が異なること、また注意機能の影響を検討する必要性が示唆された。 2016年度は、定型発達成人における各課題の視線運動パターンの解析を行い、さらに臨床研究用PCTとWAIS-Ⅲの成績との関連を検討した。主な結果については、The 31st International Congress of Psychology、39th European Conference on Visual Perception 2016、日本発達心理学会で発表した。また、ASD、ADHDなど成人の発達障害者を対象に臨床研究用PCTとEFTを実施し、課題遂行中の視線計測を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
定型発達成人での実験データは一定数集めることができたが、成人の発達障害の研究協力者について、一定人数集めるために想定以上の時間を要しているため。
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今後の研究の推進方策 |
補助事業期間を延長し、引き続き成人の発達障害の研究協力者を募り、実験を続ける。臨床研究用PCT、EFTの成績、視線運動パターンについて定型発達との相違を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
成人発達障害を対象とした実験のデータ数が十分に集まらなかったため、実験に関わる支出(実験参加者ならびに実験補助者への謝金、物品費)、研究成果の公表に関わる支出(学会参加費、旅費、論文投稿料等)が翌年度に繰り越されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
実験を継続する予定であるため、実験参加者、実験補助者への謝金、研究成果発表のための学会参加費、旅費として使用を計画している。その他、研究遂行に必要な物品費、研究成果発表に必要な翻訳・校閲料、印刷費等に使用予定である。
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