研究課題
近年,ストレスフルな環境の中で心身に不調をきたし,うつ病などに悩む人達が日本だけでなく世界中で増えてきている.このような精神疾患の治療法のひとつとして箱庭療法がある.箱庭療法では砂の入った箱の中に置かれた玩具を検査者が解釈することにより,言葉では伝えられない被験者の内面世界を解釈することができる.また,被験者が自由に表現することそのものに精神疾患の治療効果があるとされている.通常,検査に使う玩具は検査者が予め用意するのであるが,本研究ではその玩具の制限を解き,使用する玩具の自由度を上げることを試み,それが箱庭療法における表現,解釈にどのような影響があるか次の方法で実験し、考察した.被験者:4人(アメリカ人2人,中国人2人).調査日時:2015年(11月~12月).3Dプリンター:uPrint(丸紅情報システムズ)を使用.熱溶解積層方式の3Dプリンターである.熱溶解積層方式:プラスチック材料を半液状にとかし,一層ごとにパーツを構築する.CG作成:AutoDesk社TinkerCadを使用.ウェブベースの3DCADアプリケーションである.箱庭療法:砂の入った箱に,棚から玩具を選んで何らかの表現をさせる.箱庭療法教示:「この砂と玩具を使って何でも好きなものを作ってみてください.時間の制限はありません」といった簡単な説明を行う.上記の実験の方法で、アメリカ,中国でそれぞれ被験者が使用したい玩具を3Dプリンターで自由に作成させ,それらを使い箱庭療法を実施し,日本人以外にも適応可能かを検討した.その結果、本研究では玩具を3Dプリンターで作成させ自由度を上げることで,箱庭療法に新たな側面を持たせることが出来た.被験者の感想から楽しかったリラックスできたといった好意的な意見が多く3Dプリンターを使った箱庭療法が日本人のみに限られていない可能性が示唆された.
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Proceedings of the CBP 2016
巻: 5 ページ: 1,6
Proceedings of the 3rd China International on Positive Psychology
巻: 3 ページ: 1,6