研究課題/領域番号 |
26590170
|
研究機関 | 九州保健福祉大学 |
研究代表者 |
加藤 由美 九州保健福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (70509629)
|
研究分担者 |
安藤 美華代 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (60436673)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 新任保育者 / メンタルヘルス / 心理教育 |
研究実績の概要 |
保育者(幼稚園教諭および保育士)のストレスや困難感が多数指摘され,そのメンタルヘルスの問題が懸念される中,そのような保育者,特に多くの困難感を抱えやすい新任保育者に対する具体的な対処や支援に関する実践報告は少ない。本研究では,新任保育者の心理社会的ストレスの予防を目的として作成した心理教育“サクセスフル・セルフ”新任保育者版を,幼稚園教諭および保育士14名を対象として実施した。4レッスンで構成されたプログラムに対して,各レッスンの「内容に対する理解度」,「分かりやすさ」,「今後の生活への役立ち感」および「社会性に関する自己効力感」等の心理社会的要因のプログラム前後の変化についてプロセス評価を行った。参加者の感想から,本プログラムへの参加は,保育者の仕事に対する自身の考え方や姿勢を振り返る有意義な機会となったことが窺えた。心理社会的要因に関しては,プログラム前後での有意な変化は認められなかった。しかし,プログラムの全参加者は,プログラムの一部参加者に比べて,「対応のスキル」や「困難に打ち勝つ自己効力感」といった評価指標において得点の増加が多く見られた。なお,個人別の評価指標の変化を調べたところ,プログラムの全参加者では,プログラムの一部参加者に比べてプラスの変化が多く認められた。このことから,4回のプログラムに参加することにより,心理社会的要因に肯定的な変化が見られる可能性が示唆された。また,(新任保育者も含めた)保育者が特にストレスを抱えやすい人間関係の問題に関して心理教育プログラムの内容に反映させることを目的として,保育者を対象とした職務上の人間関係の困難感に関するアンケート調査を実施した(配布数281,有効回答数77)。その結果,職員間の連携,特に職員間の人間関係や指導方法・保育観の相違に関して困難感を抱えている保育者が多いことが窺えた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
保育者を対象とした心理教育プログラムを実施したが,対象者が少人数に限られており,より多くの保育者に実施するという当初の目的に達しなかったため。また,予定していた保育者対象の電話,メール相談に関して,参加者からのニーズも含め実施できる状況が整わず,実施に至らなかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
研究代表者が所属を変更した(他県に移動した)ことにより,当初予定していた電話,メール相談の実施は困難な状況である。そこで,各園の保育者に対して職務上の人間関係の問題に関する理解を図り,具体的な対処方法について考えるきっかけを提供するために,これまで実施したアンケート調査の結果(新任保育者も含めた保育者の人間関係に関する困難事例)をまとめ,幼稚園や保育所に配布することにより,新任保育者のメンタルヘルス対策の構築の一助としたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた保育者を対象とした電話・メール相談を実施できず,そのための経費(研究協力者への人件費等)を使用しなかったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
これまで実施したアンケート調査の結果(保育者の職務上の人間関係に関する具体的な困難事例)をまとめ,幼稚園や保育所に送付するための費用(報告書印刷代、郵送費等)として使用する。
|