保育者(幼稚園教諭および保育士)、特に新任保育者は職務上の人間関係に困難感を抱えやすいことから、新任保育者のメンタルヘルス対策の一助とするため、保育者を対象とした心理教育プログラムの実践研究や職務上の人間関係の困難感に関するアンケート調査等を実施してきた。そこで、これまでの研究成果をまとめ、幼稚園や保育所,認定こども園等の保育現場に勤務する保育者(園長、主任等)や新任・若手保育者向けに「保育者のメンタルヘルス」をテーマとした著書として出版した。著書の主な内容は、以下のとおりである。第1章:若手保育者の抱える困難感やメンタルヘルスに関する先行研究の概観、第2章:若手保育者の抱える困難感に関するインタビュー調査等の質的研究の報告、第3章:保育者の困難感と抑うつに関連する要因に関する量的研究の報告、第4章:保育者を対象とした心理教育“サクセスフル・セルフ”の実践研究の報告、第5章:保育者の職務上の人間関係に関する困難事例の紹介、第6章:保育者のメンタルヘルスの保持・増進に向けて。保育者のストレスの多くは職場の人間関係に起因するという現状を踏まえ,特に第5章においては、職員間の連携の困難として、全140事例(保育観や保育方法の相違による困難事例、職員間の連携不足による困難事例、職員への話し方や指導方法の困難事例、上司の対応による困難事例、世代間の相違による困難事例、職員同士の人間関係の困難事例)を掲載し、園内での職員研修等で活用しやすいよう工夫した。
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