• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

不安とうつへの認知行動療法の拡張と増強:集団版統一プロトコルと感情調整プログラム

研究課題

研究課題/領域番号 26590171
研究機関独立行政法人国立精神・神経医療研究センター

研究代表者

伊藤 正哉  独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 認知行動療法センター, 室長 (20510382)

研究分担者 藤里 紘子  筑波大学, 人間総合科学研究科(人間系), その他 (50610333)
細越 寛樹  畿央大学, 教育学部, 助教 (80548074)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード認知行動療法 / 感情調整 / 増強 / 拡張 / 集団療法 / 統一プロトコル
研究実績の概要

本研究は、うつ病や不安障害に対する認知行動療法について、従来以上にその提供効率を増やし(拡張)、その効果を高める(増強)方法を萌芽的に探る研究である。拡張という点では、うつ病や不安障害に幅広く適用可能な統一プロトコルを、集団療法として実施する方策を模索してきた。平成26年度は、今後の臨床試験に向けての研究デザインの策定を進めるとともに、集団版の統一プロトコルの治療内容について検討を重ねてきた。一方、増強に関しては、従来の認知行動療法においてあまり焦点が当てられてこなかった感情調整過程に注目し、二つの観点から研究を進めてきた。第一に、感情調整スキルについての検討である。この検討においては、わが国においても、欧米で報告されているような感情調整スキルを概念化できるかについて、調査研究のデータを解析し、論文化を進めてきている。解析は概ね終了したものの、論文を完成するには至っていない。第二に、従来の認知行動療法に上乗せする形で、感情調整過程に焦点化した増強療法を加える可能性について検討してきた。これについては、すでに報告されている研究を系統的にレビューしようと試みたものの、対象論文数がかなり限られており、リサーチクエスチョンに応えるデータが得られないと判断された。そのため、国立精神・神経医療研究センターですでに実施されている臨床試験のデータについて、感情調整に着目して二次解析する方向性を検討してきた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初は、認知行動療法に感情調整介入を追加した臨床試験について系統的レビューをする予定であったが、その検討が困難であることが明らかになった。そのため、既存のデータを検証するという方向性で検討をすすめることとなった。集団版統一プロトコルの作成や、感情調整スキル尺度の検討は順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

やや遅れが出ている、増強プログラムの開発につながるレビューについては、系統的レビューではなく、既存の日本人に対する認知行動療法の臨床試験のデータ等を解析することとした。わが国では認知行動療法の臨床試験が限られている中で、有益な知見が得られることが期待できる。

次年度使用額が生じた理由

集団版統一プロトコルについては順調に研究を進めてきたが、他の研究としてすでに進行してきていた個人版統一プロトコルの研究経験によって得たノウハウ等により、大きく予算額を削減できた。例えば、個人パン統一プロトコルの治療マニュアルの多くを採用することが可能であり、新たに集団版として開発したり、専門家にヒアリングする必要がなくなった。また、系統的レビューの遂行として資料収集などでかかる経費を見込んでいたが、これについても、系統的レビューの研究手法を変えたため、これに予定していた支出がなかった。

次年度使用額の使用計画

集団版統一プロトコルについては、今後、予備施行に入るため、これに関連する経費として使用する計画である。とくに、プログラムのマテリアル作成にかかる経費や、それに関連した人件費に使用する予定である。また、系統的レビューの代わりに既存データの二次解析を実施していくため、こうした解析や論文執筆に関連して支出する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] うつ病や不安症において神経症傾向は問題か?:併存および疾患重症度との関連2014

    • 著者名/発表者名
      加藤典子・伊藤正哉・中島俊・大江悠樹・藤里紘子・宮前光宏・蟹江絢子・堀越勝
    • 学会等名
      日本認知・行動療法学会第40回大会
    • 発表場所
      富山国際会議場
    • 年月日
      2014-11-03 – 2014-11-03
  • [学会発表] 不安やうつのCBTを求める成人患者が発達障がいの特徴を伴う場合:感情調整不全に注目した創意工夫2014

    • 著者名/発表者名
      伊藤正哉・加藤典子・大江悠樹・藤里紘子・中島俊・蟹江絢子・宮前光宏・堀田亮・堀越勝
    • 学会等名
      日本認知・行動療法学会第40回大会
    • 発表場所
      富山国際会議場
    • 年月日
      2014-11-03 – 2014-11-03
  • [学会発表] 感情が大事:曝露療法としての統一プロトコル2014

    • 著者名/発表者名
      伊藤正哉・中島俊・加藤典子・藤里紘子・蟹江絢子・大江悠樹・宮前光宏・堀田亮・堀越勝
    • 学会等名
      日本認知・行動療法学会第40回大会
    • 発表場所
      富山国際会議場
    • 年月日
      2014-11-02 – 2014-11-02
  • [学会発表] Emotion Regulation Skill Questionnaire日本語版作成および信頼性・妥当性の検討2014

    • 著者名/発表者名
      藤里紘子・伊藤正哉・加藤典子・中島俊・宮前光宏・大江悠樹・蟹江絢子・細越寛樹・堀越勝
    • 学会等名
      第14回日本認知療法学会
    • 発表場所
      大阪国際会議場
    • 年月日
      2014-09-13 – 2014-09-13
  • [学会発表] 曝露の導入とその効果増強2014

    • 著者名/発表者名
      加藤典子・伊藤正哉・松岡豊・堀越勝
    • 学会等名
      第14回日本認知療法学会
    • 発表場所
      大阪国際会議場
    • 年月日
      2014-09-13 – 2014-09-13
  • [学会発表] 不安とうつに対する診断横断的治療のための統一プロトコル2014

    • 著者名/発表者名
      堀越勝・伊藤正哉
    • 学会等名
      第14回日本認知療法学会
    • 発表場所
      大阪国際会議場
    • 年月日
      2014-09-13 – 2014-09-13
    • 招待講演
  • [図書] 不安とうつの統一プロトコル バーロウ教授によるクリニカルデモンストレーション2014

    • 著者名/発表者名
      伊藤正哉・堀越勝(監修) デイビッド・バーロウ(公園)
    • 総ページ数
      160
    • 出版者
      診断と治療社

URL: 

公開日: 2016-05-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi