ヒトの記憶課題において、同じカテゴリーに含まれる単語のうち特定の単語のみを思い出させると、その後の再生テストにおいて残りの単語の再生率が低下する。この現象は“検索誘導性忘却”と呼ばれ,検索過程そのものが忘却を引き起こすという可能性を示唆している。本研究では、動物が既知物体よりも新奇物体をより好んで探索する生得的傾向を利用した自発的物体再認テストを用いて,ラットでも検索誘導性忘却様の現象がみられることを実証した。さらに検索を阻害するとされる薬物投与によって,そのような現象は消失することも明らかになった。
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