本研究は、統合失調症に認められる妄想の認知的基盤に誤った連合記憶(虚連合記憶)があるという仮定に基づき、統合失調症モデル動物(NMDA受容体拮抗薬投与ラット)に虚連合記憶が生じるかどうかを調べた。虚連合記憶テストに用いる嗅覚刺激を選別するための行動テストを行ったのち、NMDA受容体拮抗薬のMK-801によって虚連合記憶が生じるかどうかを調べた。虚連合記憶テストでは、自発的物体再認テストの手法を嗅覚刺激と物体刺激からなる複合刺激に適用した。以前に経験していない複合刺激の探索が少なくなる傾向を虚再認記憶に相当する現象と仮定したが、MK-801投与はこのような現象を引き起こさなかった。
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