本研究はグループの魅力が構成メンバのどのような側面に影響されるのかを特定し,グループとしての魅力を推定するモデルを構築することを目的とした。 2つの主となる研究の結果から,構成メンバの分散が影響しうることがわかった。どのような評価形態(呈示順序,空間的配置,呈示時間)で最も顕著に表れるかを特定するために,3つの実験を行ったところ,主としてグループ構成員のベースとなる魅力値のみが影響しており,呈示順序,空間的は位置は大きな影響を及ぼさないことがわかった。ベースとなる魅力の値は低い場合は一貫して分散が大きくなるほどグループ全体の魅力を低下させることがわかった。呈示時間は1秒に短縮しても結果には影響しなかった。呈示する人数は3名までは同様の結果であった。逐次比較事態を用いた実験の結果から,複数人からなるグループの魅力を判断するとき,1人1人の魅力を平均化することで,被験者がグループ全体の魅力を知覚できることがわかった。 次に,作業記憶負荷が魅力知覚に及ぼす効果を検討したところ,作業記憶負荷が増えると魅力評価は中心化する傾向が一貫して見出された。すなわち,もともと魅力が高い人物画像の魅力は低下し,もともと魅力が低い人物画像の場合は魅力が上昇した。記憶負荷操作は左右鏡映像の対称性判断成績を低下させることから,顔画像の対称性を判断しにくくなったせいで,顔魅力の主決定因のひとつである左右対称性を魅力判断の基準とするための重みが低下したと考えられる。
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