研究実績の概要 |
平成26年度は、従来の教育学の分析枠組みを教育政治学の分析枠組みへと転換させるための土台づくりを以下の4つの方法によって行った。 第一に、教育実践が政治とどのように相互浸透しているかを、アメリカおよび日本のシティズンシップ教育の展開に即して分析した。文献や資料収集による研究に加えて、アメリカにおける研究協力者・機関(Harry Boyte Co-Director of Center for Democracy and Citizenship ,Augsburg College, Minneapolis, Minnesota, USA)とのコラボレーションを行い、著書を刊行した。また、日本における実践のフィールドは、小玉が現在代表をしている日本シティズンシップ教育フォーラムと連携して、そこに参加している教員や実践家との協働を行った。 第二に、戦後教育学(戦後教育行政学や教育権論を含む)の歴史的展開を対象として、教育学はなぜ、どのように脱政治化していったのかを歴史的に分析する作業に着手した。 第三に、教育が再政治化する今日的局面を検討した。特に、教育の再政治化をめぐる最重要の論点である首長主導の教育改革に関する分析を行った。 第四に、以上三つの課題の成果を付き合わせつつ、教育政治学の分析枠組みの形成をめざした研究会、あるいはシンポジウムを、8月の日本教育学会大会と、1月の名古屋大学訪問において行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
アメリカにおける研究協力者・機関(Harry Boyte Co-Director of Center for Democracy and Citizenship ,Augsburg College, Minneapolis, Minnesota, USA)とのコラボレーションは、単なる共同研究にとどまらず、著書の刊行にまで至ることができた。具体的には、Shigeo Kodama “Higher Education and Political Citizenship: The Japanese Case”, in Harry Boyte(ed.), Democracy'sEducation: Public Work, Citizenship, and the Future of Colleges and Universities, Vanderbilt Univ Press, 2014.12., pp.221-225を刊行した。 また、1月28日に名古屋大学を訪問し、本科研からは小玉重夫、村上祐介、荻原克男が、また、名古屋大学からは、荒見玲子准教授、小野耕二教授、田村哲樹教授の三氏が参加し、教育学と政治学の共同可能性について議論を深めることができ、政治学との連携可能性を現実的なものとすることができたという意味で、当初予定した以上の進展を見ることができた。
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