研究課題/領域番号 |
26590186
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小玉 重夫 東京大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (40296760)
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研究分担者 |
村上 祐介 東京大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (00423434)
荻原 克男 北海学園大学, 経済学部, 教授 (70242469)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 教育政治学 / シティズンシップ教育 / 18歳選挙権 |
研究実績の概要 |
本年度は前年度の成果をふまえて、教育政治学の分析枠組みを精緻化していく作業を行った。特に、教育政治学の理論枠組みを現実の政治分析に適用する作業を試みることに よって、規範・実践の学と実証科学とに分離してきた現代政治学のパラダイムを革新しうるような分析の視角を提示する作業を行った。 具体的には、教育行政の独立性と教育の政治的中立性という戦後教育を規定してきた二つの原理が、今日、再編の対象となりつつある点に注目した。前者については、教育委員会制度見直しの動きとの関係で、また、後者については、18歳選挙権の実現に伴う政治教育の再評価との関係で、様々な議論が生まれている。特に、後者の政治教育に関しては、18歳選挙権の成立を受けて、政治教育のカリキュラム上の位置づけ、高等学校における新科目設定の是非、道徳の教科化などをめぐって、論点が生まれている。そうした動きは、教育研究にとっても、政治と教育の新たな関係把握を理論的に要請している。そこで、日本教育学会第74回大会のラウンドテーブル「教育政治学の創成-教育学と政治学の協働へ向けて」において、この教育研究における政治と教育の新たな関係把握を行うという理論的要請に応えるべく、教育政治学の創成可能性を検討した。特に、政治学者の田村哲樹氏に「政治教育における「政治」とは何か」と題する報告を行ってもらい、それに、村上と小玉がコメントを行うという形で、教育学と政治学の協働可能性を探った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
日本教育学会史上初めて、政治学者と教育学者の協働でラウンドテーブルを開催し、政治学と教育学の双方から多数の参加者を得て盛況な議論の場を持つことができたことは、学会史上重要なターニングポイントであり、歴史的なきわめて意味を持つ。また、本年度に18歳選挙権が成立したことも、本研究の注目度を予想以上に高め、報道機関から多数の取材を受け、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、共同通信、日本経済新聞、NHK、東京FM、TBSラジオで研究の一端を公表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の成果をもとに、次年度は日本政治学会で成果の発表を予定し、政治学と教育学のいっそうの交流を深めると共に、それを新しい学問パラダイムの形成につなげることを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
日本政治学会との交流をより促進するために、次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、本年度の成果をもとに、日本政治学会での成果発表を予定しており、政治学と教育学のより密接な交流により、新たな学問創成をめざす。
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