本研究プロジェクトのメンバーにより「次世代型学習を考える会」を結成し、3年間に計7回の学習会を実施して、過疎地小規模校をハンディキャップのある教育環境とするのではなく、むしろ小規模校・少人数学級ならではの質の高い教育方法モデルを開発するという方向性での実践的研究に取り組んだ。そのために必要な条件は何かを洗い出し、ICTを活用しつつ,学習者が自律的かつ協同的に学ぶ学習スタイルを導入する実践を小中学校において実践した。 本研究では,未来型学習スタイルと考える授業方法をモデル化し(1年目),小中学校の現職教員の研究協力者らによる実践を通して授業方法を修正・調整し(2年目),その授業方法を過疎地の学校に普及していく上で参考にできる「ICT活用実践コース事例集」を大町市教育委員会と連携して作成した。これにより一般の教員が最先端のICTを活用した協同的な学びと自律的な学習を重視した教育方法を実践していく際のガイドラインが設定できた。また、今後の過疎地・小規模校に求められる学習指導および教育観について、長野県上水内郡信濃町立信濃小中学校が義務教育学校になるまでの歩みを事例に、一冊の本「山と湖の小さな町の大きな挑戦」にまとめることができた。 さらに、ニュージーランドをはじめとする海外の自律的な学習を支援している教育方法を映像資料として撮り集め、それらを「主体的・対話的な学び」という観点から編集した教員研修用のDVD教材を開発した。この映像教材は6月より順次長野県の各研修講座にて活用されることになっている。
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