研究課題/領域番号 |
26590189
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
夏目 達也 名古屋大学, 高等教育研究センター, 教授 (10281859)
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研究分担者 |
中井 俊樹 名古屋大学, 高等教育研究センター, 准教授 (30303598)
澤野 由紀子 聖心女子大学, 文学部, 教授 (40280515)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高等教育 / 継続高等教育 / 生涯学習 / 社会人の学び直し / 成人学習 / 大学院教育 |
研究実績の概要 |
本研究では、社会人の能力・雇用可能性向上のために大学・大学院での学び直し普及の阻害要因および普及促進に必要な条件整備のあり方を検討することを目的としている。研究初年度にあたる平成26年度には、フランスの大学における成人の学び直しの実態、およびその前提となる生涯キャリアガイダンスに関する政府の施策の動向について、主に先行研究や政府の各種資料を用いて明らかにした。また、イギリスにおける生涯キャリアガイダンス政策の概要や、主要大学における学生向けのキャリアガイダンスの実施状況について調査した。このうち、イギリスの大学における「生涯キャリアガイダンス」政策や、キャリア形成支援活動の概要と若干の特徴について、以下の点を明らかにした。 1) 1990 年以降、社会・経済状況の変化の中で、EU として、生涯キャリアガイダンスを政策課題に位置づけ、その内容に関する検討とともに、高等教育を含む各学校段階での実施を促進している。2)イギリスは EU 諸国の中では、キャリア形成支援の取り組みが進んでいる。スコットランドでは、CMS 枠組が開発されている。3) 大学では、エンプロイアビリティ形成に向けた活動が正課教育や正課外活動として実施されている。活動を支える主体として、いくつかの大学はキャリア形成に関する研究を行う組織を設置して いるほか、キャリアセンターを設置し専門スタッフが学生向けに各種のサービスを提供している。 これらの調査・研究の成果を、論文としてまとめて、『名古屋高等教育』第15号(平成27年3月刊行)に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定どおり、学会発表を行った(2014年9月、フランス教育学会)。また、研究成果を論文として1編発表した(『名古屋高等教育研究』第15号)。
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今後の研究の推進方策 |
計画の2年目にあたる平成27年度には、概要以下のような研究を行うことを予定している。1)大学・大学院における社会人向け継続教育促進に関する国内の先進事例の調査・検討、2)大学・大学院における社会人向け継続教育促進に関する諸外国の先進事例の調査・検討、3)日本における社会人向け大学・大学院継続教育の必要性と可能性の検討 具体的な研究計画として、以下を予定している。第1に、スウェーデンの主要大学に赴き、教育担当副学長・継続教育の実施担当者に対するインタビュー調査を行う。第2に、前年に行ったイギリス、フランスについて補足的な調査を行う。調査にあたっては、現地で収集した資料等のさらなる読み込みを行う。第3に、国内の主要私立大学において、教育担当副学長に対して、同大学における社会人向けの継続教育受講に関する取組の状況について、教育担当副学長・継続教育事業担当者に対してインタビュー調査を行う。第4に、平成26年度に行った調査の結果を、日本比較教育学会において発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたイギリスにおける調査を、現地に赴いての調査ではなく、国内業者を通じて購入した英語文献、インターネットを通じて収集した各種情報によって行うことが可能と判断した。そのため、現地調査に要する経費を節減することができた。また、現地の状況に詳しい日本人研究者からの情報収集にも努めることで、調査・研究の質を担保することができた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は、スウェーデンにおける現地調査のほか、フランスにおける現地調査の実施を予定しいえる。また、国内で成人向けの学び直し促進事業を行っている主要大学や、文科省等の学び直し促進政策担当者に対してインタビュー調査を実施する。さらに、前年度までの調査・研究成果を公開するために、日本比較教育学会(2015年6月、宇都宮大学)にて研究発表を行う。
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