研究課題
本研究の研究成果である露口健司(2016)『つながりを深め子どもの成長を促す教育学-信頼関係を構築しやすい学校組織・施策とは-』では、第3章において、学級レベルでのソーシャル・キャピタルが学級レベルでの学習意欲の向上と学習意欲の格差の抑制に効果を有していることを、A県を対象とする104学級を対象とする計量分析によって明らかにした。教師と子どもたちの教室内での信頼・互酬性規範・対話交流(ネットワーク)が、子ども達の集団レベルでの学習意欲を高めるだけでなく、集団内での学習意欲の格差を抑制する効果を有していることが判明した。学級経営が学習意欲に対して及ぼす効果を示唆する調査結果であると言える。こうした結果は、B県を対象とする119学級を対象とした調査(藤田奈津子・露口健司・平松義樹・城戸茂(2016)「児童を取り巻くつながりと学ぶ意欲の関係」『小学校区においてソーシャル・キャピタルを醸成する教育政策の探究』教育政策プログラム)においても追認されている。特定自治体だけでなく、別の自治体を対象とした調査研究においても、同様の結果が得られることを確認することで、エビデンスの質を高めることに成功している。また、藤田他(2016)では、学級ソーシャル・キャピタルが高い学級と低い学級とでは、教師による再発話(リボイシング)の質と量が異なる実態を、事例校への1年間に及ぶ観察や、複数の教職員及び児童に対するインタビュー調査等の質的方法によって明らかにしている。学級においてソーシャル・キャピタルを醸成し、また、それが子ども達の学習行動をどのように変容するのかの記述に成功している。
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