研究課題
目標に向けての個の変容は、教育そのものである。従来は、その変容結果を科目ごとの評点として一人ひとりの学生に示されてきた。しかし、それは受講した科目における知識・技能の獲得に主眼が置かれており、それらを足し合わせても学生一人ひとりの変容を示すものとはなりえず、学習成果の可視化には不十分と言わざるを得ない。そこで、本研究においては様々なデータを用いて個の変容に迫りたいと考えた。ただ、個の変容を3年間通して追跡することは不可能であり、まずは一つ一つの授業の中での個の変容をデータで示していくことにした。具体的には、(1)形成的評価や総括的評価から授業改善を考える研究、(2)アクティブラーニングに代表される授業法を用いての授業改善に関する研究、(3)大学全体で十周するデータと教員個人で収集するデータの組み合わせから授業改善を考える研究、そして、(4)米国の大学に於ける初年次教育の調査研究となる。本研究の結果、教員と受講生、受講生と受講生のコミュニケーションを密にし、教員と学生が一体感を持って展開する授業を行い、その過程を文字などを通して記録する事ができれば、学生一人ひとりの変容がかなり的確に示すことができることが明らかになった。もちろん、授業前の準備や授業後の分析などに教員は時間と労力を費やす必要があり、従来のような授業時間内だけの実践というわけにはいかないことも明らかになった。つまり、学生たちに行う単位制の説明(90分の事前学修と90分の受講、そして、90分の事後学修)ではないが、教員がそれ以上の時間を使って授業に取り組む必要性も示された。さらに、学士課程での変容を意識すれば、初年次からの真剣な授業への取り組みがなければ変容は生まれないことも暗示されている。このような授業改善を積み重ねることによってのみ、大学教育の質保証ができる。
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長崎国際大学論叢
巻: 17 ページ: 39-50
巻: 17 ページ: 51-61
大学教育イノベーションセンター紀要
巻: 7 ページ: 25-33