研究課題
学力向上は、教育政策の喫緊の課題である。学力向上のための要因は種々考えられるが、本研究においては教員の力量形成を支える地域における教育研究組織とその活動に焦点を当てた。地域における教育研究組織は、明治10年代より全国各地に族生した地方教育会が担ってきた。そして地方教育会の教育研究活動において中心的な役割を果たしてきたのは、師範学校教員と小学校長会である。戦後教育改革の中で、多くの県において地方教育会は解散された。しかし、教育会が存続した地方においてはもとより、解散した地方においても、明治時代から形成されてきた地域における教育研究組織は形を変えながら存続することになる。本研究においては、上述の仮説を検証すべく、全国一斉学習状況調査において高い成績をあげている秋田、全国的に見て標準的な地方教育行政を行っている岐阜、地域において独自性の認められる宮城などを事例として、今日に至るまでの地域における教育研究組織とその活動について明らかにした。ここでは秋田県調査から得られた知見を挙げておく。秋田県においては、県教育研究所の設立が遅れた(1956年)。県教育研究所では、全国一斉学力調査の結果を受け、「学力向上」を研究課題として取り組む。また市町村レベルでも教育研究所が発足する。教育研究所の設置は、全国的に認められるが、秋田県において特徴的な点は、地域の校長会の活動である。地域の校長会が中心となり、教育研究に組織的に取り組んできたことである。その足跡は、校長会誌からも確認できる。地域の校長会による教育研究活動は、今日まで継承されており、これが秋田県における教員文化の基底を形成している。詳細については、報告書を参照のこと。
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教育史学会『会報』
巻: 120号 ページ: 12
教育史学会『日本の教育史学』
巻: 59集 ページ: 32-44
巻: 59集 ページ: 185-187
日本教育学会『教育学研究』
巻: 83巻3号 ページ: 326-328