今年度の研究の主たる作業は、全国の家庭を対象とした質問紙調査の実施であった。そのため、2015年12月までにかけて、調査表案を研究会のメンバーの意見を参考に作成した。調査の実施は、1月に行った。調査にあたっては、全国から、20代から60代の家庭1600件から回答を得た。男性、女性ほぼ5割ずつ、調査対象者の選択は、幼稚園児、小学生、中学生、高校生を子どもに持つ親をそれぞれ400件として割り当てて行った。 その主な結果としては、本を読む親が6割、読まない親が4割を占めた。それぞれの子どもについてみると、本を読む親の7割の子どもは本を読むが、読まない子どもも3割いる。他方、読まない親の場合は、当然、読まない子どもが多く、7割いるが、親が本を読まない場合であっても、本を読む子どもが3割存在する。このことは、確かに、家庭で親が本を読むか、読まないかは、子どもの読書活動に大きな影響を及ぼすといえる。しかし、読まない家庭の場合でも、本を読む子どもがいるということは、家庭の環境だけではなく、学校や公共図書館がそうした子どもたちにとっての重要な読書環境になっていることが推測される。 この「家庭における読書活動の実態調査」の結果をさらに詳細に分析し、関連学会誌に発表の予定である。
|