内外動向調査・文献調査:国内外のURAを含む研究マネジメント人材についての文献調査やRA協議会年次大会等の各種シンポジウム参加による情報収集を引き続き実施し、研究マネジメント人材に関する活動動向や研究動向を把握した。 集計・分析:平成27年度に実施した質問票調査によって得られたデータセットを基に統計分析を進めた。質問票調査では、国内の大学や公的研究機関等に所属する研究マネジメント人材に対し、保有するスキルの水準や協業のための組織設計等について個別に尋ねている。質問票を1976人に送付したところ、有効回答は401に達し、国内の研究マネジメント人材のスキル構成傾向が把握できた。クラスター分析を実施し、「調査分析人材」、「初級者」、「産学連携人材」、「研究寄り経験者」、「オールラウンダー上級者」の集合と考えられる4つのクラスターが得られた。 平成28年度は本データセットを基に回答者個人の活動成果(回答者の主観的な評価による指標)を目的変数とし、保有するスキルの水準や組織設計等に関する複数の項目を説明変数とした回帰分析(線形回帰)を実施した。スキル水準やいくつかの組織設計項目に関して個人の活動成果に対する有意な関係が確認できた。合わせて回答者が所属する職場の活動成果(回答者の主観的な評価による指標)を目的変数とした回帰分析を実施した。同様にスキルの水準やいくつかの組織設計項目に関して職場の活動成果に対する有意な関係が確認できた。活動成果に対するスキル水準や組織設計に関する項目の関係は個人と職場で異なることも明らかになった。 この結果は、研究マネジメント人材が組織的に成果を上げるためには個人のスキルと職場における協業のための組織設計の両方が重要であるという当初からの研究仮説に合致するものである。同時に実践的な効果として研究マネジメント組織の運営にも資するものである。
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