最終年度に当たる本年度は、2016年6月に米国ミルウォーキー市で開催されたAssociation for the Assessment of Learning in Higher Education(AALHE)の年次総会、及び2017年2月に開催されたAssociation of American Colleges & Universities(AACU)主催のGeneral Education and Assessment Conference等に参加し、単位制度、学習成果の評価法、コンピテンシー型教育の評価法などについて、情報収集とネットワーク作りを行った。 また、調査や文献調査などで得た知見を整理するとともに、その成果をもとに日本獣医生命科学大学の教員研修会の講師として、学習成果と単位制度に関して講演を行った。 さらに、本研究で得た知見をもとに、勤務先大学における内部質保証システムの構築や学生調査等の企画に活用した。 なお、最終報告書に記したように、時間をベースにした従来の単位制度に代わりうる「共通通貨」は、いまだ諸外国でも開発されていない。というのも、コンピテンシー型教育を提供する大学によって、獲得を目指すコンピテンシーが異なり、また、その評価単位も異なるからである。たとえば、WGUではコンピテンシー1単位と従来の1単位を同等としているが、SNHUでは、その比率は2:1としている。 むしろ、我が国の課題は、学習時間をベースにした単位制度自体、まだ実質化していないない点にある。その意味では、まず、現行の単位制度を実質化し、さらに学習評価のみならず、大学経営のツールとしても活用していくことが必要である。
|