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2016 年度 実績報告書

フランスにおける留年制度に関する比較教育社会学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 26590211
研究機関大阪大学

研究代表者

園山 大祐  大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (80315308)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード留年 / 原級留置 / 落第 / フランス / 教育社会学 / 階層 / 移民 / 外国人
研究実績の概要

すでにいくつかの先行研究によってフランスの80年代からの中等教育の大衆化がすべての階層に等しく作用して来なかったことは明らかにされている(Beaud; Prost; Merle; 園山 2016a)。たとえばルメールによれば管理職の保護者を持つ生徒は、中学生の15%を占めるだけだがグランゼコール準備級 第1学年に55%が在籍する。その逆に、労働者の生徒は中学校に、38%いたはずが9%しかグランゼコール準備級に進学していない(Lemaire 2008)。あるいは、理系普通バカロレア取得者のグランゼコール準備級進学率は、富裕層は非富裕層の3倍である(Lemaire 2004)。学歴上昇は見られても、庶民階層の生徒がより困難を抱えていたり、低い進学率がみられたり、職業系の教育課程に追いやられている。またデュリュ=ベラが指摘するように、学業困難は初等教育段階から始まることも多くの研究から得られた共通の課題である(Duru-Bellat 2002)。こうした一連の研究は、階層格差や性別は進路決定過程において生み出されているということも指摘している。特に進路研究の第一人者であるベルテロ(Berthelot 1993)は、生徒や保護者が希望する進路と学校側の提供する選択には「ズレ」があるとする。つまり進路指導における不平等の問題があげられている。第1に同一の成績においても、出身階層や性別における進路選択の違いがみられること、第2に学業成績以外に出身階層や性別に応じた進路指導があげられている。第3に、教育環境の違いである。学級、学校、地域における選択可能性に違いがあることが指摘されている。こうした進路選択、決定過程において留年の経験の有無が1つの大きな要因となることも明らかで、留年率は減少しているとはいえ、依然として学業達成の鍵を握っていることは本研究より明らかとなった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち謝辞記載あり 1件) 図書 (2件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (2件)

  • [雑誌論文] 『移民系フランス人』の学業達成と庶民階層にみる進路結果の不平等―中等教育内部にみる自己選抜と周縁化のメカニズム―2017

    • 著者名/発表者名
      園山大祐
    • 雑誌名

      現代思想

      巻: 45-7 ページ: 184-198

    • 謝辞記載あり
  • [図書] 教育の大衆化は何をもたらしたか2016

    • 著者名/発表者名
      園山大祐
    • 総ページ数
      326
    • 出版者
      勁草書房
  • [図書] 岐路に立つ移民教育2016

    • 著者名/発表者名
      園山大祐
    • 総ページ数
      309
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
  • [備考] 大阪大学人間科学研究科教育制度額研究室

    • URL

      http://educational-policy.hus.osaka-u.ac.jp/

  • [学会・シンポジウム開催] 日仏教育セミナー2016

    • 発表場所
      大阪大学人間科学研究科
    • 年月日
      2016-12-17 – 2016-12-17
  • [学会・シンポジウム開催] 日仏教育セミナー2016

    • 発表場所
      大阪大学人間科学研究科
    • 年月日
      2016-10-01 – 2016-10-01

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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