本研究は、プライベートセクターにおける高等教育政策を質保証の観点と行財政の観点から分析し、開発途上国における当該政策動向の理論化、体系化を試みることを目的としている。事例対象国として、アジア(ミャンマー、ラオス)とアフリカ(ウガンダ、マラウィ)を選定し、各国の高等教育の実態を明らかにした上で、当該政策動向の理論化、体系化を試みるものである。 2014年度から2015年度にかけて、ミャンマー、ラオス、ウガンダ、マラウイの事例4カ国で現地調査を行い、独自のデータを収集した。また、対象国の教育政策担当者や国際機関の専門家に関する質問紙調査も行い、連携研究者及び国際共同研究者間での議論を基に、上記の専門家らにフィードバックを実施した。具体的には、単位互換制度、成績評価制度(質保証)と運営財政や管理の独立性(マネジメント)の観点を軸に政策分析を実施し、事例国における現在の私立高等教育政策の動向を把握した。また、私立高等教育機関の類型化を財源別(公的資金、宗教団体の寄付等)、管理体制、経営体制についても明らかにして、上記で収集したデータもとに比較分析を行った。 2016年度は本研究プロジェクトの最終年度であり、事例国での研究結果をもとに、開発途上国における私立高等教育の比較分析を行い、高等教育機関の体系化を実施した。具体的には、新たな高等教育政策の理論化と私立の高等教育政策に関する研究の分析フレームワークの提示を試みた。本研究成果は、ラオス・ビエンチャンにあるラオス国立大学で国際セミナーを2017年2月に開催して、研究成果を共有した。また、国際ジャーナルにも研究論文を投稿中である。
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