本研究は、財政逼迫と説明責任、透明性という困難な時代の要請の中で、多様な能力を求められる大学教員の役割取得や能力形成のプロセスを定量的・定性的に明らかにし、能力開発のための支援体制を整備する基礎的研究である。国立大学に勤務する助手以上の教員(外国人教員を含む)を対象にアンケート調査を用いて、教育研究能力に与える要因を明らかにした。答申が求めるアクティブラーニングが有効であるのは、49人以下の人文社会科学系のクラスで、分野を超えた適用は妥当ではない。潜在クラス分析から授業理解度は属人性に依存している。過去10年間の個人研究費の削減は、競争的外部資金のみならず、研究継続性にダメージを与えている。
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