研究課題/領域番号 |
26590217
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
田中 敦士 琉球大学, 教育学部, 准教授 (40347125)
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研究分担者 |
細川 徹 東北大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (60091740)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 少子化 / 教育人口動態 / 八重山諸島 / 学校教育 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、沖縄県八重山圏域における有人12島のうち、小中学校が設置されている8島の将来人口推計に基づく島ごとの児童生徒数の推移に関する予測を行うことであった。この目的に沿って、平成26年度は、過去20余年にわたる八重山圏域43小中学校(併置校を含む)の児童生徒数の推移と自治体・島別の人口静態・動態に関する基礎データを収集した。併せて、将来予測に必要な学校別・学年別・性別の詳細なデータを入手するために竹富町西表島の8校に訪問調査を行った。 以上から、①全国でも数少ない人口増加県である沖縄県において増加率上位に位置する石垣市でも、児童生徒数は減少傾向が顕著であった(小学校:過去20年間で26.4%減、中学校:同30.5%減)。この傾向は八重山圏域全体でも同様であった。一方、②島別・学校別にみると児童生徒数の推移には大きな差異があり、このうち小学校について、過去の児童生徒数の時系列的変化のトレンド、学校規模、予測値の推定精度などからクラスタリングしたところ、石垣島南部の人口集中地域の学校とそれ以外に大別され、それ以外の学校はさらに石垣島北西部と西表の一部、石垣島東中部と竹富町の諸島(竹富、小浜、波照間、黒島など)及び与那国島に分けられることがわかった。また、石垣島北部と竹富町の一部の小学校では、不規則あるいは例外的な児童生徒数の変動がみられ、それぞれの地域における人口の自然増減だけでなく社会的要因を含めた複雑な要因の関与が想定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画では2つの方針を示した。1つは、離島における小中学校ごとの在籍児童生徒数の推移予測に関する初期モデルの構築で、公表されている各種人口統計資料に基づき、コホート要因法による島ごとの将来の男女年齢別人口の推計を行い、小中学校別の在籍児童生徒数を予測するモデルを作ることであった。これに関しては、島別の人口変動モデルの作成は可能であったが、学校別モデルの作成は基礎となるデータが公表されている各種人口統計資料だけでは不十分で、次年度に持ち越した。 2つ目は、現地訪問調査による詳細なデータの収集で、平成26年度は竹富町西表島を中心に行った。その内容は過去10年余の年度別の教職員数、教職員異動数、学年別男女別児童生徒数、児童生徒の転入・転出数、教職員子弟の児童生徒に占める割合、移住者の子弟の児童生徒に占める割合、海浜留学などによる児童生徒数などであったが、これらは各学校でも把握していないものが少なくなかった。 このように、研究実施はおおむね予定通りに進んでいるが、いくつかの問題点も明らかとなり、次項(今後の推進方策)に示すように、修正点を加えて研究計画を推進する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の調査結果の分析から、児童生徒数推移に関する学校グルーピングを行い、学校の特徴等に応じて訪問調査と電話調査・郵送調査を効果的に組み合わせて研究を推進する。また、各校並びに各教育委員会への結果のフィードバック(中間報告)に関しては年度後半に行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
教育委員会の事前情報を元に現地の小中学校への訪問調査による詳細なデータの収集を行ったが、学校長の異動が激しく、学校管理職でさえ十分に学校関連データを把握していない学校があった。そのため事前の電話調査の必要性が新たに確認され、一部の離島については万全の訪問調査を期すべく翌年度に訪問を延期し、次年度使用額として約7万円が生じる結果となった。
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次年度使用額の使用計画 |
初年度に実施できなかった地域の小中学校への訪問調査を年内に、各校並びに各教育委員会への結果のフィードバック(中間報告)を年度後半に行う予定である。そのため、次年度は旅費による使用が主となる予定である。また、7月には東京学芸大学で開催される日本発達障害学会で初年度研究成果の発表も予定しており、大会参加費と旅費による使用を計画している。
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