緻密な運動制御を行うためには長期間にわたる訓練が必要である.また,他者に秀でるためには自分に最適な情報処理方略を見出す必要がある. そこで,本研究においては耳コピー演奏あるいは初見演奏が得意なピアニストの感覚運動情報処理の間にどのような違いがあるのかを質問紙調査および行動実験を実施して検証した. その結果,ピアニストによって視覚および聴覚情報のどちらをどのくらい優先するかのバランスは違うことや,耳コピー演奏が得意なピアニストは,短時間のうちに,意識せずとも楽曲を記憶できること,初見演奏が得意なピアニストの一部は,ほとんど反射的に指を動かしている可能性などが示された.
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