第3年次は,以下のことを実施し,成果の総括を行った。 1.追加調査を実施した。過去2年の調査ではフォローできていなかった属性の教師教育者(現職経験の長い実務家としての教師教育者,博士等の学位なし)2名について聞き取り調査を行い,データを収集,分析した。3か年全体では10名のデータを収集することができた。 2.日本の教師教育者の諸類型と育成ルートを整理するとともに,研究系大学院に学ぶ教師教育候補者の専門性の成長過程について調査した結果を,ヨーロッパ教師教育学会(ATEE)で発表することができた。 3.教師教育者の専門性を高める方法論としてのSelf-Studyについて理論的考察を深め,研究会を開催した。海外で参照率の高い主要文献10冊程度を抽出し,翻訳と要約・解説を作成した。これらは来年度以降に出版する予定である。 4.3か年の成果を総括するために日本教師教育学会課題研究第2部会と連携し,教師教育者の専門性に関するシンポジウムを開催した。本シンポでは,本分野の世界的権威であるオーストラリア・モナシュ大学教育学部のジョン・ロックラン氏を招聘し,基調講演を実施した。また以下の成果報告を行い,ロックラン氏よりフィードバックコメントをいただいた。。①Lesson Studyを基盤としたドミニカ共和国における教師教育者の育成方略とその効果,②TAの経験を基盤とした広島大学における教師教育者の育成方略とその効果,③Self-studyを媒介とした広島大学における実習指導者の自己省察とその意味など。なおこれらの成果は,報告書にまとめて配布した。
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