本研究は、青年期(10代後半から20代前半の年代)にある若者、特に不読者の若者に対する読書教育プログラムを開発することを目的としている。不読の問題は読書教育における重要な問題のひとつであり、日本でも学校を中心に不読者層を読書へと誘う試みは行われてきた。しかしながら、それらは小学生以下の子どもを対象としたものが多く、青年期の若者に対する支援が十分に行われてきたとは言い難い。研究者は、メディア・リテラシー教育の視点から、ソーシャルメディアが重要な役割を果たす現代の日本社会において、読書体験を他者と共有するための場づくりが多く行われていることに着目した。本研究ではこれらの場に共通する「本を選ぶ」活動を中心におき、青年期の不読者層に対し、自ら「本を選ぶ」活動ができるよう支援するプログラムを開発することで、自律的な読者を育みたいと考えた。 具体的には、「つながる学習(Connected Learning)」の学習論およびこの学習論に基づいて展開されている様々なプログラムや実践を検討するなかで、ゲーミフィケーションの応用によるプログラム開発がひとつの有効な方法であることを見出し、公立図書館および学校図書館のみならず、美術館や地域のカフェなど、一見、本や読書ともかかわりのないよう場所でも展開しうるプログラム「本をえらぶワークショップ」「本をえらぶワークショップ for KIDS」を開発した。またこれらのプログラムにおける学習の様相を調査・分析するなかで、ロール・プレイング・ゲーム(RPG)のように、現実の自分とは異なる状況を遊びながら、パフォーマンスとしての学習を進めることの意義が明らかになった。このような研究的知見を踏まえ、研究成果を公開・アウトリーチするためのリーフレットを作成し、学校図書館・公立図書館等へ配布した。
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