研究課題/領域番号 |
26590246
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研究機関 | 国立教育政策研究所 |
研究代表者 |
二井 正浩 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター基礎研究部, 総括研究官 (20353378)
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研究分担者 |
大杉 昭英 国立教育政策研究所, 初等中等教育研究部, 部長 (50353397)
濱野 清 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター研究開発部, 教育課程調査官 (00562399)
村瀬 正幸 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター研究開発部, 教育課程調査官 (90641572)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 世界史 / グローバル教育 / ESD |
研究実績の概要 |
本研究では,現行の高校地理歴史科世界史の教育内容を,グローバル化や持続可能性といった現代の諸問題に積極的に対応できるものにしたいという問題意識から,歴史研究及び歴史教育研究の新潮流であるビッグ・ヒストリーに着目した。ビッグ・ヒストリーとは,宇宙・地球・生物・人類の歴史を統合的に理解しようとする試みであり,このビッグ・ヒストリーの学際性・包括性を活かすことで,「持続可能な社会の実現」をめざしている地理歴史科の構成科目再編への示唆を得ることができた。具体的には,ビッグ・ヒストリー・プロジェクトの主唱者であるD.クリスチャン(D.Christian)らを中心に作成されたカリキュラムモデルを分析し,また,実際にその授業実践を観察することを通して,その有効性を確認した。 その結果,グローバルヒストリー教育の類型に基づいてビッグ・ヒストリー・プロジェクトの取組を「超国家史型グローバルヒストリー教育」の枠組みに位置づけ,その特長として,人間中心の歴史の有り様から地球および自然の一部として人間が描かれることによって,地球史・人類史を国民国家の枠組みから解き放たれた歴史として描くことを可能としたこと,そして,地球的な課題を考える際に重要な視点,特に「持続可能な社会」の構築について考察するための視点を数多く扱うことが出来るものとなっていることを明らかにした。しかし,一方で,技術革新と集団的学習の概念を基軸とした一元的な解釈に貫かれているため,多様な歴史解釈を保障したカリキュラムを構築することが難しいという課題も明らかになった。 また,研究成果を生かして,日本の学校で実現可能なビッグ・ヒストリー・プロジェクトのカリキュラムの開発を手がけた。今後,出版等を通じて教育の現場に活用できるようにしたい。
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