研究課題/領域番号 |
26590247
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研究機関 | 国立教育政策研究所 |
研究代表者 |
大杉 昭英 国立教育政策研究所, 初等中等教育研究部, 部長 (50353397)
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研究分担者 |
二井 正浩 国立教育政策研究所, 基礎研究部, 総括研究官 (20353378)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 知識観 / 授業構成 / 学習指導 / 学習評価 |
研究実績の概要 |
児童生徒の持つ知識観について調査するためのアンケート項目を完成させ,小学校3校,中学校3校及び高等学校3校,教員養成課程を持つ大学4校でアンケートを実施した。また,小・中・高校の教員約270名に対しても同様なアンケート調査を行った。 児童生徒及び教員の持つ知識観については観察可能なものに対しては実在論的,観察不可能なものに対しては構成主義的な知識観,いわゆる「反実在論」的な知識観が多いことを明らかにした。そして,その成果を社会系教科教育学会(鳴門教育大学開催)で口頭発表した。 また,海外調査においては,ハワイ大学を中心に行われている「子供のための哲学」(p4cと呼ばれている)の推進者であるDr.Amberにインタビュー調査を実施し,構成主義的な授業構成による哲学及び倫理学習の在り方の説明を受け,「問いを立てること,問い続けること,他者とのコミュニケーションを通して自分自身の答えを構築することが本質である」という授業論を明らかにした。 さらに,ハワイ州の小学校,高校で行われている授業を参観し,コミュニケーションボールという道具を使って,議論を行うことや,議論のテーマ自体は児童生徒の自主的な判断で決定させるなどの授業の特色を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(理由) 研究目的は,科学哲学の成果を基に社会系教科目を担当する教師が持っている知識観について考察し,知識観の特長を生かした授業開発を行うことにある。 そのため,平成27年度の研究実施計画では,前期に児童生徒等の知識観をとらえるためのアンケート項目を完成させる。また,後期には海外調査を行い,日本の児童生徒,教師の知識観との比較を行うとともに,知識観をとらえるアンケートを国内で実施し,その結果を整理・分析することとしていた。 平成27年度は計画通りアンケート項目の作成と実施,及びその結果を整理・分析し,さらに学会で発表を行った。また,海外調査についてはハワイで行われている授業及び研究者へのインタビューを行い,構成主義的な知識観に立つ授業の特色を明らかにした。 以上,おおむね研究計画に沿って研究成果を上げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度前期は,平成27年度に行った児童生徒及び教師の持つ知識観を把握するためのアンケート項目について修正を行うとともに,アンケートを実施し,どのような児童生徒と教師の持つ知識観の違いを明らかにする。 その上で,後期は,知識観の特長を生かした社会系教科目の授業構成モデルを完成させるとともに,そのモデルを用いた授業を実施する。その際,児童生徒の学習結果を評価する方法及び手段を開発し,児童生徒の学習の到達状況を把握するデータを収集する。そして,その結果を整理・分析してまとめ,様々なチャンネル通して公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は後期の海外調査を2月に実施することにしたため,予算の執行が遅れた。また,円安傾向が続くとともに,ハワイのホテル等の料金が割高であったため,前期の予算執行を抑制したため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は国内で児童生徒のアンケート調査を実施するとともに,開発した授業モデルに基づいた授業を実施し,その成果を把握するためのデータ収集を行うため,旅費への支出を増加させる。また,分析のための計算ソフト等への支出を増やす。
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