将来起こるかもしれない災害に向けた学校防災計画は学校長を中心に作成されるものであり,特別支援学校の教員をめざす学生であっても関心は低く,理解されにくい分野であるといえる。本研究は平成23年3月11日に起こった東日本大震災でさまざまな教育的ニーズや課題が浮上した特別支援学校の現状に基づき,将来,特別支援学校の教員になることを志望する学生を対象に,特別支援学校に関連する震災関連の文献検索を行い,被災した特別支援学校でのボランティア活動をとおして防災教育の現状を知り,講話や震災関連機関を訪問するなどの活動を通した学生自らが体験する学校防災教育プログラムを予備的に開発し,参加した学生にその過程でみられる意識変化の効果を検討することを目的として実施してきた。大震災と原発事故から6年が過ぎてもまだ別の自治体に全校避難をしている県立特別支援学校への学生ボランティアを継続的に年間4回実施した。関係する文献の調査,震災当時管理職だった教員の講話,震災により整備された研修センターへの訪問を実施した。参加学生の自由記述による調査には,学生ボランティアとして初めて特別支援学校に行き,震災と原発事故の影響を実際に感じとった経験や研修センターを訪問して福島県の現状に初めて気づいた4年生の意見などが集約された。予備的に開発してきた学生自らが体験する学校防災教育プログラムとしての活動が特別支援学校の教員をめざす学生の防災意識の向上に一定の効果を及ぼしていることが示唆された。
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