研究課題/領域番号 |
26590254
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
緒方 昭広 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (80516708)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 切皮痛 / 面圧力 / 鍼管 |
研究実績の概要 |
鍼施術の中で、鍼を身体に刺入する際に痛み(以下「切皮痛」とする)を与えることが、特に初心者ではかなりの頻度で見られる。研究代表者は鍼の管を固定する押手(おしで、鍼を固定する)の圧力分布を分析し、その望ましいパターンに近づけることで切皮痛をより少なくできると考えている。切皮痛は鍼を受ける者(患者)に苦痛を与えるものである。よってその原因を本研究で明らかにし、理想とする押手の圧力分布を体得し、切皮痛が限りなく無い状態での鍼刺入の方法を指導法と共に実現する。患者にも安心して受療できることにつながり、ひいては患者離れ対策ともなる。 本研究は、経験的に実施している鍼施術を科学的に分析することにより新たな鍼灸教育法を開発することを目的とする。押手圧力分布パターンと鍼弾入圧の圧力分布を明らかにすることを目的とし開業している鍼灸師で10年以上の臨床歴を持つ鍼灸師15名を対象として、押手圧力分布を解析する。また本装置を用いて鍼灸を学ぶ学生の押手圧の分析を行い、その指導を入れた場合と入れない場合での差異を検討する。 平成28年度では、臨床歴10年以上の計15名の鍼灸師のデータを収集することができた。傾向として、①押手の全体圧力は30~50g/平方センチ;を示し、鍼管をたてた瞬間に圧力が増加した。②また指圧力も増加した。③切皮時の面圧力は、バラツキが大きかった。④実験中平均圧力は50~60g/平方センチ;であった。⑤鍼管を皮膚上にたてる直前に一時的に圧力が減少する傾向が見られた。また鍼管を把持している時間圧力が減少するか平衡状態に保たれる傾向が見られた。⑥実験中極めて圧変動が少なく安定した実験協力者について見ると、切皮痛がなく切皮動作を行う面の高さが変動しても圧力は安定していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究遂行において、視覚障害者の研究補助者の確保に時間を要したこと、また、当該研究の内容おいて、対象者(10年以上の経験を持つ熟練者)の人数確保に時間を要したことなどが主な研究遂行遅延の要因となった。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度計画 (1)大学生1~3年次学生各合計25~30名を本研究の中で指導を入れる介入群と、介入を入れないで定期的に練習をしてもらう対照群の2群に分ける。①介入群は本装置で押手圧力分布をリアルタイムで指導し、月に2回指導を実施する。②押手圧力分布と切皮痛の頻度を導き出す。押手圧と切皮痛の頻度との相関を同定し、切皮痛の出現しやすい場合と出現しにくい場合の圧力分布パターンの分析をおこなう。またそれらが学年により異なるかどうかを解析し、習熟度を分析する。 (2)指導介入について:対象学生に切皮痛の出現しにくい(しない)押手圧の圧力分布パターンをリアルタイムで視覚的に認識させる。自分の圧力分布とモデルの圧力分布と比較検討させ、そこに研究代表者が指導介入する。弱視学生には画像を拡大または既存のディスプレイの大サイズを用意して確実なイメージ化を図る。全盲の学生には、指導者が詳細に圧力分布を説明し、モデル圧力パターンになった場合を伝えて体得させる。 (3)介入の無い対照群には、月2回の初心者が使用する鍼刺入練習用のまくらを利用し、50回の切皮のトレーニングを課す。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が平成26~28年度の期間で終了予定であったが、研究遂行において視覚障害者の研究補助者の確保に時間を要したこと、また当該研究の内容において、対象者(10年以上の臨床経験を持つ熟練者)の当初予定人数確保に時間を要したこと等が主な研究遂行に遅延を生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度 総収入 970.000円 支出:人件費660.000円 備品:グラフ作成ソフト 60.000円 統計処理指導料金 100.000円、旅費150,000
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