5事例について会話分析を行い、会話相手となった大人に会話方略を提案した。事例1では大人の提案に耳を傾けず話している最中に無関係な行動を始めることが見られた。大人には大げさな身振りをすることで子どもの聞き手としての注意を獲得することを提案した。事例2では、子供と大人の会話がしばしば行き違い、話がまとまらないことがみられた。子どもは前置きなしに話をはじめ、大人は子供の前提がわからず含意を生み出すことができなかった。それに対して直截な質問をすることが大人には提案された。事例3では子どもと大人がセッションの終了の合意をつくることができなかった。大人は可能な限りあからさまにかつ詳しく終了について提案するようにすすめられた。事例4では大人の終助詞つきのコメント、形容動詞の未然形でのコメントに子どもが反応しなかった。大人に対しては終止形を用いて話すことが提案された。事例5では疑問詞質問への無反応があり、大人にははい・いいえ質問に切り替えることが提案された。
|