小児がん患者における運動指導の効果と運動機能の評価について、運動指導が小児がん患者に効果的であることを証明する必要がある。そのために入院治療中または外来での治療中にどの程度運動機能や身体活動が低下しているかの基礎データを測定し基準づくりが必要と考えられた。運動機能の測定方法として全国で一般的に測定されている新体力測定の測定項目で病院内でも測定可能な項目(立ち幅跳び・握力・反復横飛び・上体お越し・長座体前屈)を使用した。結果として入院中及び外来通院中の9人の小児がん患者に対して運動機能の計測ができた。入院治療中の患児は5人であった。ほぼすべての項目で全国平均よりも明らに低下を認めていた。一方、治療が終了し外来通院の児は4人であった。退院後半年以内と以降でわけてみると、半年以降の患児ではすべての項目でほぼ全国平均と同等の結果が得られた。これらの結果から、入院治療中の運動機能の低下は明らかであり、客観的なデータとして示せた。また、退院後も回復までに半年程度の時間を要する可能性が示唆された。今回測定するにあたり特に入院治療中の患児の体力低下が著しく、体力低下の程度が本人の予想よりも大きく乖離している症例もあり、測定時には理学療法士や医師などサポート体制を充実する必要性も再認識できた。 測定人数が少なく横断的な測定結果であるため、今後はさらなる症例の蓄積が必要枝るとっ考えられる。一方でこれらのデータは病院内という限られたスペースでも測定可能であり今後運動指導を実施するにあたり効果の指標として使用できる可能性を示せた。
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