研究課題/領域番号 |
26590262
|
研究機関 | 白百合女子大学 |
研究代表者 |
秦野 悦子 白百合女子大学, 文学部, 教授 (50114921)
|
研究分担者 |
瀬戸 淳子 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 教授 (70438985)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | インクルーシブ保育 / ASD幼児 / 特別支援児 / 日常活動への参加 / 保育参加における行動アセスメント / コンサルテーション |
研究実績の概要 |
本研究は、インクルーシブな保育・教育集団において遊びと生活を通して子どもと保育者を支援するシステムを検討することを目的とした。具体的には、インクルーシブ保育における活動参加への支援がどのように行われているのかをアクションリサーチを継続的に行った事例において、次の観点から分析を進めた。第1に、要支援児の保育活動参加の特徴を明らかにした。実際には、秦野・瀬戸(2013)が作成した「保育活動参加における行動アセスメントシート」を用いて、「衝動性」「語用論の困難」、「情緒調整の困難」「場面適応の困難」「社会的関係の困難」「日常不適応」の6領域からの行動特性を明らかにした。第2に、要支援児の保育観察記録、児童記録、保育VTR記録、担任からの聞き取り、保育カンファレンス記録から、保育者の保育活動参加への支援の分析を進めた。 また、保育巡回相談を実施した204名の調査より、保育者が直面する保育における特別な配慮が必要な状況は、(1)要支援児の気持ちが崩れた時に感情のコントロールが難しい、(2)要支援児と他児との関係性に起因して生じるトラブルへの対応、(3)理解の仕方、興味・関心が異なる要支援児と他児との対応、であるという結果を得た。さらにASD幼児104名を対象に「保育活動参加における行動アセスメント」を実施し、保育活動参加の特徴を明らかにする分析を進めた。 本研究が行動問題への支援や学習への支援にとどまらず、日常生活の場である保育・教育集団をネットワークと位置づけ、遊びや活動への参加支援を焦点化し、「関係の中の個人」と「日常活動への参加」をキーコンセプトとして、共同注意、共同行為を作り出す活動と、集団内のネットワーク分析による包括的支援に、その独自性が示されたと言える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的に即した、フィールドデータの収集については予定通り行われている。 研究遂行の過程で、研究課題申請時には企画していなかった調査も必要となったため、 発展的に研究が進んでいる。 観察の動画記録などのデーターベースの作成が、やや遅れている。その理由としては、分析の枠組みの検討に時間を要しているためである。分析を進めながら、分析の枠組みを作っていきつつ、仮説生成を行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題に最終年にあたり、次のような推進方策を行う。 第1に、対象年齢を3歳児クラス~5歳児クラスの要支援幼児に限定し「保育に活動参加における支援」をより焦点化していく。したがって進捗状況によっては、学齢児を対象とした支援は再検討する可能性がある。 第2に、要支援幼児の保育活動参加における特徴の量的分析を進める。あわせて、継続的にアクションリサーチを行って蓄積している基礎的資料を基に、析可能な事例の数を増やすことで、仮説生成を行う。 第3に、年度末までに、これまでの研究の成果を整理しまとめる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
動画データを文字化し、プロトコル作成作業(アルバイト謝金)、調査データ入力作業が予定より進まなかった分の謝金が繰り越された。
|
次年度使用額の使用計画 |
動画データを文字化し、プロトコル作成作業(アルバイト謝金)、調査データ入力作業謝金。 まとめサッシの印刷代。研究成果の発表、旅費など。
|