研究課題/領域番号 |
26590264
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研究機関 | 新潟リハビリテーション大学 |
研究代表者 |
粟生田 博子 新潟リハビリテーション大学, 医療学部, 准教授 (50424891)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 特別支援学校 / 体力調査 / 体育授業 |
研究実績の概要 |
本研究では,就学期の障がい児の身体活動状況や体力を明らかにするとともに,就学期の体育授業が,障がい児の身体活動や卒後の身体状況,ひいては健康維持等にどのように影響するかについて明らかにすることを目的としている.2014年から2015年度にかけて,特別支援学校(1校)の協力を仰ぎ,所属する教員に対する体育授業に関する意識調査,握力調査および活動量調査を実施した.握力調査は2014年度から継続的に調査を行ったことから,学年進行に伴う各生徒個別の変化を追うことができ,各生徒の状況に応じて変化が大きいことが伺えた.また,昨年度実施した校内における身体活動量調査では,体育授業実施日の身体活動量が多い実態が明らかとなった.しかし一方で,卒後の活動調査に関しては,協力依頼に対し消極的な反応がほとんどであり,実態がつかめない状況が続いているため,実施方法や内容について今後の検討課題となっている. そこで今年度からは研究の方向性を若干修正し,一般校における特別支援学級での体育活動の実態を調査・検討する計画である.これは,特別支援学校に在籍しない障がい児の体育授業における実態把握が不十分であること,また現場の教員に対する意識調査のコメント等から浮き彫りになってきた「教員が障害を持つ児童生徒の身体機能を適切に評価した上で必要な授業内容を提示できない」という現状をふまえ,今年度が当該研究課題の最終年度であることから,より実状に即した研究内容に取り組むことを検討している.また,一般校の調査にあたり,高等学校ではクラス編成で障がいの有無等判別できないことが多いため,中学校における体育授業参加状況に焦点に絞り,その実態を把握することで,現場の体育教員にも有益となるような結果を提示したいと考える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究目的の達成度がやや遅れている現状について,以下の点が考えられる. 1.研究対象者の選定が予想以上に難航している.特に,卒後の状況に関する調査継続依頼を行うが,これまで本人および保護者の承諾が得られない状況が続いている.卒業後の調査を依頼するため,卒業前から本人,保護者向けの周知を行っているが,これらの実施や研究協力に関する判断については,現場の教員の示唆を必要以上に含まないことで校内での計測や調査の許可を得ている部分も多い.さらに学校側の担当教員が異動となり,担当者の理解や対応が異なる現状がある. 2.特別支援学校のスケジュールや校時表に併せて計測等の調査を行うにあたり,研究担当者の学内業務との調整が難航することが想定以上に多かった.また,計測を予定した生徒の体調不良等で対象者を急遽変更するなどの対応が必要となる場合が多く,その調整や対応に難航することがあった.
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今後の研究の推進方策 |
本研究は,障害を持つ生徒の健康維持・管理に向けて現状の教育現場で何ができるかを検討する目的を持つ.そのためこの研究結果は,障がい児者やその保護者はもとより,現場の教員や臨床で障がい児・者のリハビリテーションに携わるセラピスト等に有益となることが求められる考える.そのための今後の方策として,以下の点を挙げる. 1.学校側,本人・保護者側への調査依頼を可能な範囲で継続する.また継続的に得られたデータを分析し,調査協力校における結果を集約して学会発表および研究論文等で公表する. 2.調査を行ってきた中で,特別支援学校高等部へ入学(編入)する生徒の多くは,一般校の特別支援学級出身者が多い実態が明らかとなってきた.しかし実際にどの程度中学校在学中に活動しているかを研究担当者が十分把握していないこと,指導現場の体育担当教員において,障がいを持つ生徒に対応するための情報や具体的な指導方法,内容の理解や実施に乏しい実状があることなどが挙げられる.そのため,これらを考慮し,特別支援学級を併設する中学校に調査を実施し,体育授業の実施に関する現状を把握することで今後の継続的な対応や調査を再検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度,新たな計測機器等の購入も検討していたが,調査の目的に該当するする備品の選定や調達等に時間を要した.また,特に対象者の卒後のデータ収集が進まず,調査の人件費等に関する予算執行が滞った.
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は,計測機器の選定,調査内容や方法の修正と調査対象の拡大により,調査協力者を確保し,物品購入および人件費・謝金等の予算充当を予定している.さらに,最終年度であることから学会発表や論文投稿等を積極的に実施する.
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