研究課題/領域番号 |
26590266
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研究機関 | 四国大学 |
研究代表者 |
前田 宏治 四国大学, 生活科学部, 准教授 (50631727)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 発達障害 / パニック / カームダウン / 聴覚過敏 / 音刺激 / 1/f揺らぎ / ノイズキャンセリング機能 / 骨伝導イヤフォン |
研究実績の概要 |
本研究はパニックや興奮状態に陥った発達障がいの子どもを速やかに落ち着かせるために,どのような音刺激をどのように呈示することが効果的であるかを明らかにするものである。研究2年目である2015年度は,発達障害の診断を有している成人男女4名の協力を得て,パニック及び音に関する聞き取り調査と,複数の条件を組み合わせた音刺激の呈示による反応を測定する心理検査を行った。 聞き取り調査において,過敏性のある人は視覚・触覚にも過敏性が認められるものの,日常生活においては聴覚の過敏性がQOLに大きく影響を与えていることが明らかとなった。 心理検査では,研究協力者の半数ずつが聴覚過敏性のある群(過敏群)とない群(非過敏群)に分かれた。過敏群では,大きな音やバイノーラル効果が過敏性を悪化させる可能性が示唆された。カームダウンを図るには人工的な規則音ではなく,1/f揺らぎを含む自然の音が有効に働く可能性が示唆された。 呈示装置については,ノイズキャンセリング機能付きのヘッドフォンの有効性が示唆された。ただし,カームダウンを図ることを目的とした場合,音刺激に注意を向けることは過敏性を助長するリスクがあるため,発達障害者のシングルフォーカスという特性を考慮して,タッピングなどの運動動作と組み合わせることでリスクを減らせる可能性が考えられた。音呈示に骨伝導イヤフォンを使用した場合,過敏群では音が明瞭に聞こえたのに対し,非過敏群では不明瞭に聞こえるという結果となった。過敏群にアブミ骨筋反射の機能上の問題が存在する可能性が疑われ,今後の検証が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2014年度の研究が大幅に遅れたため,その影響を受けて,今年度の研究も大幅に遅れてしまった。 専用アプリの開発に当たり,開発者との打合せできたものの,ユーザーインターフェイス等の策定が完成せず,開発委託契約に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
8月までには専用アプリの試作を終えて,研究協力者による効果検証を行い,今年度内の完成を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画が大幅に遅れており,専用アプリ開発の委託契約が未契約である。研究協力者に対する実験が行われていないため,謝金の支払いができておらず,次年度の研究遂行のためにこの経費を次年度に使用しなければならない。
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次年度使用額の使用計画 |
専用アプリ開発の委託契約費,研究協力者への謝金,実験に使用する機材の購入費,成果発表のための旅費等に使用する計画である。
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