研究課題/領域番号 |
26590267
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
神尾 陽子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 児童・思春期精神保健研究部, 部長 (00252445)
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研究分担者 |
石川 信一 同志社大学, 心理学部, 准教授 (90404392)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 発達障害・情緒障害 / 通常学級 / 心の健康教育 |
研究実績の概要 |
本研究では,ASD(閾下の自閉症的特性を含む)児の集団向け不安軽減プログラムを開発し,それが実際にASD児に適用可能かどうかを研究場面で検討した後(研究1),実際に教師が教育場面で実施可能かどうかを検討した(研究2)。プログラムによる子どもの変化を最も反映しうる効果指標について検討を行った(研究3)。研究1では、プログラムはASD児への適用を念頭に,情報提示とプログラムの進め方にについて修正を加えた。児童の平均出席率は90%,保護者の感想もおおむね肯定的であり,ASD児に対して適用が可能であることが示された。不安症状が高かった児童では,プログラム終了6ヵ月後には得点が減少し,不安症状の低下が反映された。研究2では、実施率は98.2%であり,高い忠実性が示された。児童の平均出席率は86.7%,プログラム理解度の平均は,終了後では95.2%,終了3ヵ月後では76.2%であった。事後アンケートは,授業時間の長さと準備の負担の大きさにおいて低い値が示されたが,全体的には高い値が示された。事前に不安症状が高かった児童では終了3ヵ月後には不安症状の低下が反映された。研究3では、児童評定および親評定の不安症状、児童評定および親評定のQOLを用いて、事前、事後の変化を比較したところ、不安尺度のSCASを児童自身が評定したスコアのみが有意な減少を示した。これらにより、本研究で作出したプログラムはASD児に実施可能であることが示唆され、また効果指標には児童評定の不安尺度得点が鋭敏に変化を捉えうる可能性が示唆された。今後、より長期的な検討および多面的な検討によって、最適な効果指標を決定する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開発したプログラムについて、臨床研究者実施、学校教師実施、臨床家臨床場面実施、それぞれの実施可能性を検討できた。また効果指標の検討もプレポストのデータ解析によって実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
実施したプログラムのマニュアルを完成させ、普及に努める。その際に、実施した教師、臨床家たちからのフィードバックを取り入れ、修正を加える。また長期的な事後フォローを完遂し、よりよい効果指標について検討する。
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