近年、構造規制したナノ粒子の合成が可能となり、電極触媒などへの応用が期待されている。多くの触媒反応は表面構造に敏感なため、高活性な表面構造を有する微粒子を用いることにより、触媒使用量を削減できる。触媒の表面構造の理解は重要であるが、汎用な電子顕微鏡では微粒子表面の原子配列まで観測することは困難である。本研究では、金属探針上に微粒子を担持させ、電気化学応答および電界イオン顕微鏡(FIM)を適用することで、表面原子配列を特定することを目的とする。本年度は以下の項目について実施した。 1、高選択的な構造規制ナノ微粒子の合成法を確立した。10 nm以下の立方八面体型Pt微粒子を70%以上で合成した。立方八面体型微粒子は酸素還元反応に高活性であり、粒子径に依存する。微粒子の合成にはキャッピング剤として高分子が用いられるが、キャッピング剤が吸着したままではFIM測定が困難である。そこでカルボン酸を用いた合成法とし、キャッピング剤を容易に除去できる合成法とした。 2、電気化学測定では、微粒子からの電気化学反応を測定するために、探針からのファラデー電流を抑える必要がある。フッ素樹脂コーティングにより1 pA以下に抑制することに成功した。また、電気化学計測システムの構築を行った。ノイズを低減しナノ微粒子からの高感度測定を可能にした。 3、微粒子の担持状態を確認するために、探針を透過型電子顕微鏡で測定する必要がある。TEM用試料ホルダーを改良し探針を保持できるようにし、微粒子を担持した探針のTEM観測を行った。微粒子懸濁液への浸漬により探針上へ担持されていることを確認した。
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