本研究は,化学安定性の高い結晶性多孔質有機材料の創製をめざし,アセンの光二量化を鍵反応とする共有結合性有機構造体の構築に挑むものである.本助成期間中は,構造体の構成要素となる環状化合物の合成に注力した.検討の結果,1ステップでジアミン誘導体とボロン酸誘導体を計6ユニット連結し,環状化合物を効率良く合成できる条件をみいだした.連結ユニットとなるジアザボロール骨格は,可逆的に形成できるとともに加水分解に対して比較的安定であり,本研究の目的に合致する結合モチーフである.今回得た知見は,アセンの光二量化による構造体合成への足場になるとともに,それ自体でも多様な新規構造体合成に応用可能だと考えられる.
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