研究課題
原子間力顕微鏡(AFM)を用いると探針先端の原子と表面の個々の原子との間に働く相互作用力を測定して、表面の原子や分子を観察できる。さらに、2原子間に働く相互作用力や散逸エネルギーを測定することも可能である。AFMを用いて、化学的性質が似通っているシリコン原子とゲルマニウム原子の元素同定に成功した。これによって、高感度なレーザー干渉計により精密な力測定ができることが示された。一方、探針と表面の間には静電気力の寄与が無視できない可能性を示し、実験的に静電気力を精密測定する方法を提案した。これにより、原子レベルの信号を正しく見積もることができるようになった。また、触媒のモデル系であるルチル型二酸化チタン表面をAFMによって調べた。具体的には、まずTiO2(011)表面のAFMコントラストを分類した。その際、TiO2(110)表面のコントラストの分類と同様に表面に吸着した水素原子が標識となった。最も観察頻度が高いコントラストは走査型トンネル顕微鏡とよく似ており、画像化機構が似通っていると結論付けた。このコントラストの輝点は原子位置を反映しておらず、酸素原子の電子状態とチタン原子の電子状態が探針との相互作用に寄与していることを示唆している。さらに、表面の水素原子の拡散の様子を観察し、表面酸素列に沿って、ジグザグに拡散する様子を初めて捉えた。これは、過去に提唱された構造モデルと一致する結果である。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 6件、 査読あり 6件、 謝辞記載あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (28件) (うち国際学会 14件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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