研究実績の概要 |
伝導性のナノ炭素繊維上に1nm以下のサブナノ金属クラスターを安定に担持するために、配位性デンドロンを共有結合で炭素繊維に結合させた。炭素繊維として官能基を意図的に増やした膨張化炭素繊維を用い、デンドロンは窒素配位性の第四世代PAMAM(発散法)と第二世代DPA(収束法)の二種を選択した。炭素繊維上の有機化合物としてのデンドロンの存在は、TG測定から加熱に伴う質量減少として未修飾炭素繊維のそれと比較することから明確な差として観察した。 このDendron@炭素繊維の水懸濁液に白金イオン(Ⅳ)の添加により錯化させ、NaBH4で還元処理を行うことで白金金属を炭素上に固定化した。また、同時に、炭素繊維を懸濁させる媒体の開発としてに親和性が高いとされるイオン液体の開発を行った。 (Pt@Dendron)@炭素繊維の白金4f軌道の結合エネルギーをXPS分析から評価した。DPAとPAMAMの双方のデンドロンを固定化した炭素繊維は、共に、Pt(II)の473, 76 eVはなく、Pt(0)の71, 74eVの結合エネルギーのピークを与えた。白金金属に還元されていることを確認した。さらに、膨張化炭素繊維上の収束法DPAデンドロンに固定化されている白金粒子のサイズをTEM観察から評価したところ、第二世代DPA修飾炭素繊維上に1 nm付近のクラスターが50%以上存在していて、それが単分散に近い状態であった。これに対して発散法で導入した第四世代PAMAMを持つ炭素繊維上の白金粒子のサイズは、1nm以下から2.3nmまで幅広く多分散状態であった。収束法か発散法による差なのか、デンドロン骨格の構造の差に基づくものなのか、今後の検討が必要である。 デンドロンを一切修飾していない炭素繊維上で得た白金粒子は自己会合し、40nm近くの巨大な白金粒子の島となっていた。配位性デンドロンの修飾効果を明確にした。
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