本研究の主題である白色蛍光量子ドットの合成では、合成直後の配位性溶媒中のCdSe量子ドットをクロロホルムに分散させることが常法としてよく知られている。このとき、スペクトル幅が著しく広い白色発光が観測される。ところが、合成直後の量子ドットを常法に反してジクロロメタンに分散させると、驚くべきことに極大波長が~400 nmの青色発光が得られた。このような蛍光スペクトルに及ぼす顕著な溶媒効果を、塩素を含む溶媒に着目して詳しく調べた。その結果、溶液中における量子ドット形成のメカニズムと量子ドット表面における配位性溶媒の役割を深く理解する手がかりが得られた。
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