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2014 年度 実施状況報告書

水中におけるカーボンナノチューブと糖の新規吸着反応メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 26600033
研究機関独立行政法人産業技術総合研究所

研究代表者

平野 篤  独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 主任研究員 (90613547)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードカーボンナノチューブ / 糖 / 吸着反応 / 酸化還元反応
研究実績の概要

本研究では、水溶液中でのみ観察される「カーボンナノチューブと糖分子の吸着反応」という新規物性の全容解明に挑戦する。糖分子はバンドギャップが大きなカーボンナノチューブに強固に吸着する特徴をもち、その原理は2011年の反応の発見以来、未だ解明されていない。本研究では、この吸着反応の主たるメカニズムが「溶液中の溶存酸素とプロトンが媒介するカーボンナノチューブの酸化還元反応」にあるという仮説を実証する。本仮説を実証できれば、糖分子だけでなく、DNAや糖タンパク質などの糖構造をターゲットとするカーボンナノチューブの基礎物性研究が飛躍的に進展し、その原理を利用した高次の応用研究の創発にも多大に貢献できると期待される。
本年度には、酸化還元反応の実証実験に必要となるカーボンナノチューブの精製を行った。また、カーボンナノチューブの酸化による糖分子の吸着力の変化の観測にも着手した。カーボンナノチューブは酸化剤存在下で糖分子の吸着力を弱めることをゲルカラムによるカーボンナノチューブの溶出実験から実証した。このような酸化剤によるカーボンナノチューブへの糖分子の吸着力の変化は共存するカーボンナノチューブの分散剤(界面活性剤)の影響を受けていると考えられる。具体的には、酸化したカーボンナノチューブの正の電荷と界面活性剤の電荷による相互作用が糖分子の吸着力を支配していると想定される。今後は分子動力学計算等を組み合わせることによって、より詳細にメカニズムを明らかにしていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

次年度に計画していたカーボンナノチューブの酸化状態の変化に対する糖分子の吸着力の変化の観測も部分的に進めることができたため。

今後の研究の推進方策

カーボンナノチューブの荷電状態(酸化状態)によって糖分子の吸着力が変化する仕組み(分子機構)を実験および分子動力学シミュレーションで明らかにする。特に、実験においては、糖分子とカーボンナノチューブの相互作用が当初の予想よりも弱いと考えられるため、クロマトグラフィなどを用いた測定方法が有効であると考えられる。

次年度使用額が生じた理由

購入を予定していたクロマトカラム用大型恒温庫を使用せずに小スケールで当該研究を進捗させることに成功したため。また当該助成金を次年度計画しているカーボンナノチューブへの糖分子の吸着反応の分子機構を調べる研究に利用することで、研究進捗を当初よりも格段に向上させることができるため。

次年度使用額の使用計画

本年度の研究によって、カーボンナノチューブと糖分子の相互作用が当初の予想よりも弱いと考えられたため、クロマトグラフィなどを用いた検出法が有効であると考えられる。このような理由から、当初計画した消耗品の購入のほか、クロマトグラフィにおける糖分子の検出器の購入も計画している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Redox-dependent separation of single-wall carbon nanotubes in hydrogels2015

    • 著者名/発表者名
      平野篤、田中丈士、片浦弘道
    • 学会等名
      第48回フラーレン・ナノチューブ・グラフェン総合シンポジウム
    • 発表場所
      東京大学 伊藤国際学術研究センター 伊藤謝恩ホール
    • 年月日
      2015-02-21 – 2015-02-23

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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