本研究では水溶液中のみで観察される「カーボンナノチューブ(CNT)と糖分子の吸着反応」という新規物性の全容解明に挑戦した。ドデシル硫酸ナトリウムで分散したCNTは、酸化状態において、糖に対する吸着力の低下を示した。分子動力学シミュレーションから、CNTが正に荷電するとCNT表面のドデシル硫酸ナトリウムの吸着密度が増加することが明らかになり、これらの物性がバンドギャップ依存的なCNTと糖の吸着反応の原因であることが示唆された。水溶液中では溶存酸素とプロトンがCNTの酸化還元反応に関与してバンドギャップ依存的な吸着が起こると考えられる。
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