研究課題
リチウムイオン畜電池における正負電極の構造特性および充放電(リチウムイオン移動)による電極の構造変化に起因する振動モードの変化を同一ナノ領域で同時観測することを目指し、透過電子顕微鏡観察下における観察領域での散乱型近接場光ラマン分光法(空間分解能:約50nm)を開発することが目的である。近接場光は銀微粒子(平均直径50nm)にレーザー光を照射して形成するが、1)レーザー光のプローブ径を数10μ m以下に小さくしてレーザー光励起によるバックグランドのラマン信号の強度を小さくし、さらに2)サイズ制御した微粒子に波長調整したレーザー光を照射して共鳴励起効果により近接場光の輝度を高くする、ことで高輝度のナノ光プローブによる高s/n比のラマン分光測定を目指した。今年度は、光プローブを形成する透過電子顕微鏡内その場分光機構に高精度・大開口数のコリメートレンズ機構を組み込み、波長可変レーザーから共鳴励起が期待されるエネルギー(約2.9eV)のレーザー光を顕微鏡観察領域に観察下で集光(直径10μm以下)できるようにした。その結果、近接場光とレーザー光のプローブ面積比は数百分の1程度まで小さくなったと見積もられた。しかし、共鳴効果による輝度比の増加が予想外に低いようで、近接場光によるラマン信号をレーザー光による強いラマン信号と区別するには至らなかった。
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Physical Reviwe B
巻: 91 ページ: 2353151-5/
http://dx.doi.org/10.1103/PhysRevB.91.235315