研究課題/領域番号 |
26600053
|
研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
前之園 信也 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 教授 (00323535)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | オートファジー / オートファゴソーム / プラズモンイメージング / 磁気分離 / 磁性体ナノ粒子 / ハイブリッドナノ粒子 / リポフェクション |
研究実績の概要 |
オートファジーの機序の全容解明のための一つの重要な方法論として、オートファゴソームをリソソームと融合する前に単離し、オートファゴソーム形成に関わるタンパク質の同定や内部組成を直接分析するという、シンプルかつ直接的な手段が考えられる。しかし、過渡的に出現するオートファゴソームを単離することは難しく、密度勾配遠心などによる検討がされてはいるが、今のところ確実な方法は無く、革新的な単離技術の確立が期待されている。そこで本研究では、磁性とプラズモン特性を併有したデュアル機能ナノ粒子(DFNPs)を創製し、オートファゴソームをリアルタイムでイメージングしながら磁場によってオートファゴソームを単離し、オートファゴソーム形成に関わるタンパクの同定や内容物の直接分析を可能にすることを目的としている。平成27年度の研究実施計画は、DFNPsを哺乳動物細胞の細胞質へ送達し、プラズモン散乱イメージングする技術を確立することであったが、研究代表者らは、当初計画を大幅に前倒しして研究を進めることができた。平成27年度の研究実績の具体的内容は次の通りである。 銀(Ag)と鉄コバルト合金(FeCo)を複合化したAg/FeCo/Agコア/シェル/シェル型DFNPsを創製した。このDFNPsは、超常磁性とプラズモン散乱特性という二つの異なる物理特性を兼ね備えており、オートファゴソームのイメージングと磁気分離が可能であることを確認した。このDFNPsの表面を、ポリ-L-リジン(PLL)骨格にラクトビオン酸(LA)とチオール基(SH)を導入したPLL-LA-SHポリマーで修飾し、リポフェクション法によって哺乳培養細胞の細胞質へ送達したところ、DFNPsが再現性良くオートファゴソームへ取り込まれることを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、平成27年度はDFNPsをリポフェクション法によって哺乳動物細胞の細胞質へ送達しイメージングするというところまでが達成目標であったが、幸運なことに当初の目標は早期に達成できたため、次の段階(当初は平成28年度の計画にあった項目)、即ち、「実際にオートファジーを誘導し、オートファゴソーム内にDFNPsを取り込ませ、プラズモンイメージングによってオートファゴソーム内へのDFNPsの局在を確認する」というところまで到達したため。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、以下の3つの目標を達成する。 (1)オートファゴソームの3次元構造解析:電子線トモグラフィー法により、DFNPsを取り込んだオートファゴソームの3次元精密構造解析を行う。 (2)オートファゴソームの磁気分離:DFNPsを哺乳培養細胞の細胞質に送達し、プラズモン散乱によるライブイメージングを行いながら、オートファゴソームにDFNPsが取り込まれたことを確認後、細胞膜のみを温和に破砕し、オートファゴソームを磁気分離する。 (3)プロテオーム解析:単離したオートファゴソームをプロテオーム解析に供し、タンパク質のプロファイリングを行う。
|