本研究は、極薄有機膜や固液界面近傍の深さ方向の分子構造変化をナノスケールで観察し、in vivo(生体内)観察・解析をラベルフリーで可能とする革新的なセンシング手法を確立し、分子レベルからの細胞生理機構の研究への応用の可能性を探ることを目的とした。表面増強ラマンを極めて高感度かつ汎用的に適用可能とする透過型プラズモンセンサを用い、自己集積化単分子膜や脂質二重膜、細胞等の表面近傍の化学構造測定に成功した。また膜の深さ方向の構造分布の0.1nmレベルでの測定を実現した。さらに表面修飾によりpH変化の測定にも成功した。本手法は種々の細胞腫の識別や動的測定による代謝の解析など幅広い応用が期待される。
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