研究課題/領域番号 |
26600066
|
研究機関 | 公益財団法人神奈川科学技術アカデミー |
研究代表者 |
大崎 寿久 公益財団法人神奈川科学技術アカデミー, 人工細胞膜システムグループ, 研究員 (50533650)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 生体機能模倣 / 脂質 / 生体材料(リポソーム) / マイクロ・ナノデバイス / 合成生物学 |
研究実績の概要 |
従来の細胞をモデル化する研究は、単一細胞における機能(代謝や自己複製など)を再現し理解するために単一のリポソームを細胞容器として利用してきた。これに対して、本研究では生体組織の協奏的な機能発現を再現・理解することを究極的な目標とし、単一細胞モデルとなるリポソーム同士を接着することで「細胞集合体モデル」を創成することを目的とする。申請者の均一径リポソームアレイ形成研究を基盤技術(若手B 平成23~24年度)として、本研究ではタンパク質相互作用を介して接着したリポソーム集合体の作成を実施する。さらに、「接着」・「伝達」の機能をモデルに対して付与し、これらを生体組織の萌芽的モデルプラットフォームとして提案することを目指している。 平成26年度は、隣接リポソームを接触させた上で、ビオチン-ストレプトアビジンの特異的結合を利用したリポソームの接着を行った。親水基部分がビオチン化された脂質分子をスプレーする脂質に混合する。また、リポソーム同士が接触した状態で形成されるように条件検討を行った。接触したリポソームアレイに対して、ビオチンと特異的に強く結合するストレプトアビジン(タンパク質)を加え、リポソーム同士を結合(接着)する。リポソーム同士が接着を維持する条件を探索するため、ビオチン化脂質の混合比率や、ストレプトアビジンの散布量について検討を行った。また作成したリポソーム集合体モデルの接着性を経時的に観察することで確認した。接着されたリポソームの数は少ないものの、タンパク質相互作用を介してリポソーム同士を接着し、細胞集合体モデルを作成できることを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の目標である①タンパク質相互作用を介したリポソームの接着について、条件検討を重ねた結果、その接着の観察と経時的安定性についても評価できていることから、概ね達成できたものと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、伝達タンパク質を融合した細胞集合体モデルを創ることを目標とする。接着リポソーム集合体に対して伝達タンパク質を融合させ、モデル細胞間での初歩的なコミュニケーション機能を再現することを目指す。伝達タンパク質をリポソーム集合体上で不均一に形成させる手法について検討し、輸送される分子の観察や、リポソーム集合体全体の形状に及ぼす変化を観察する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度の研究途上で得られた知見から、リポソーム集合体の接着状態の観察に関して、顕微鏡による高感度での撮影が必要となることが予測された。そこで、消耗品費支出を極力抑制し繰り越すことで、平成27年度予算と合わせて顕微鏡の高感度化を目的とした研究費使用を計画した。
|
次年度使用額の使用計画 |
上述の通り、繰り越し分を合わせて顕微鏡高感度化のための微分干渉ユニット、レンズ類の使用を計画している。
|
備考 |
論文掲載後に随時、追加予定
|