本研究では、スピン流による熱電変換効率を飛躍的に向上させることを目的として、磁性多層膜構造におけるスピンゼーベック効果の熱電特性を評価した。その結果、フェリ磁性絶縁体/常磁性金属多層膜において、スピンゼーベック効果によって誘起される熱起電力が積層数の増加に伴って単調かつ大幅に増大することを見出した。系統的な実験結果と現象論的解析に基づき、熱電変換能を更に増大させるための指針も得た。さらに本研究では、強磁性金属/常磁性金属多層膜において、異常ネルンスト効果が界面密度の増加に伴って単調に増大することも明らかにした。
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