研究課題/領域番号 |
26600089
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
成塚 重弥 名城大学, 理工学部, 教授 (80282680)
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研究分担者 |
丸山 隆浩 名城大学, 理工学部, 教授 (30282338)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 液相成長 / 窒化ガリウム / テンプレート基板 / 流速支援 / マイクロチャンネルエピタキシー / 転位低減 |
研究実績の概要 |
GaNの流速支援液相成長を実現し低価格でGaNテンプレート基板を成長するため、本年度は、1)流速支援液相成長用ボートの設計、2)メサ加工基板を用いたマイクロチャンネルエピタキシーによる横方向成長の検討、3)マイクロチャンネルエピタキシーの成長メカニズムの解明、という3つの課題に関して研究を進めた。 1)流速支援液相成長用ボートの設計に関しては、3Dプリンターを用いて液相成長に用いる溶液中に対流を引き起こす駆動方法に関しモデル実験をおこない、その効果を検証した。特に本年度は溶液中にアンモニアガスを供給し泡(バルブ)を発生させ浮力により対流を引き起こす方法(バルブ発生対流駆動法)を中心に駆動方法の検討をおこなった。その結果、ボートの隙間からのガスのリーク、溶液中のバルブ発生のための最適なノズル形状およびバルブ通過部の形状に関する有用な知見を多く得た。しかしながら、初期の目標である溶液中での安定した対流の発生には至っていない。 2)メサ加工基板を用いたマイクロチャンネルエピタキシーによる横方向成長の検討に関しては、縦方向の成長をほぼ完全に抑制することに成功し、横縦比の非常に大きなGaNの横方向成長層を得ることに成功した。横方向成長領域の転位の低減効果もCL測定を用い評価した。 3)マイクロチャンネルエピタキシーの成長メカニズムの解明に関しては、ステップ源であるスパイラルステップならびに積層欠陥端での2次元核生成の双方に注目し、それぞれのステップ源に関して表面過飽和度と縦方向の成長速度との関係を定量的に調べた。その結果、過飽和度の上昇にしたがい積層欠陥端での2次元核生成によるステップ源での成長速度が大きく上昇すること、ならびに、表面ステップの移動に与える不純物のピニング効果に関しての定量的なデータの取得に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
流速支援液相成長のためのボート設計に関して、対流を発生させるための検討に時間を要したため、ボート設計という計画に対しては少し遅延を生じている。 転位の低いテンプレート基板作製のための横方向成長に関しては、メサ加工基板を用いたマイクロチャンネルエピタキシーにおいて予想以上の進展が得られ、縦方向の成長がほとんど停止し横に大きく成長する最適条件を見いだすことに成功した。 マイクロチャンネルエピタキシーのメカニズムの解明に関しては、表面過飽和度と成長速度の関係を、ステップ源の種類毎に定量的に調べることにはじめて成功した。 以上の結果を総合的に評価すると、本年度は予定よりやや遅れていると判断された。
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今後の研究の推進方策 |
流速支援液相成長のためのボート設計に関しては、本年度に得ることのできた知見を加えることでより効率的な対流生成法の検討をおこなう。検討に当たっては、再度最適な駆動力(機械的対流駆動法、バブル発生対流駆動法)の選択からおこなう。こうすることにより、本年度得られた知見を生かし、より広い選択範囲から優れたボートの最適設計をおこなうことが可能であるものと考える。 メサ加工基板を用いたマイクロチャンネルエピタキシーによる横方向成長によるGaNテンプレート基板の作製ならびに液相成長を用いたマイクロチャンネルエピタキシーの成長メカニズムの解明に関しては、新装置の完成を待たず、現有の液相成長装置を使用した条件の最適化を前もって進めることにより研究の加速をおこなう。さらに、メカニズム解明おいては、取得した定量的なデータを用いることによりモデルの信頼性向上を図りたい。
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